2009-01-01から1年間の記事一覧

熊本再訪

1年3か月ぶりに熊本。 熊本で暮らしていた時にお世話になった方々に会いに行く。私の心身の守護神・天粧さん→癒しの魔窟 カフェオレンジ&橙書店・ヒサコさん→熊本の母 韓国料理ケナリママ(この店で、ナミイおばあ喜び組集会)。このあと歌う予定だったが…

前夜

近頃は夜型。台風直撃前夜。雨音を聴いている。『「いのち」の近代史』(藤野豊 かもがわ出版) 『父の法廷』(アイザック・シンガー 未知谷) 『言葉の外へ』(保坂和志 河出書房)明日は暴風かもしれないと思ったら妙に焦って、図書館に行って借りてきた本…

生きる歓び

横浜みなとみらいで姉と新潟・柏崎、佐渡の旅の打ち合わせ。行き帰りの東横線の中で「生きる歓び」(保坂和志)を再読しつつ、神話的時間についてふと考える。 神話的時間:感じることや生きることが言葉と分離する以前の状態(by 鶴見俊輔)「生きている歓…

シャケ

来週早々にあるヨミ会に備えて課題図書の「ゲド戦記 影との戦い」を再読。読みながら一緒に成長しなくてはいけないような、なんだか追いつめられるような、もうそんなに締め上げないで的な、今回は濃厚にそのような気分。もっとユル本を読みたいモード。愚弟…

チューニング

この世には「ラジオの国」という国がある。いくら探し求めても見つからない国で、できるのはその国から送られてくる声にただ耳を傾けること。この世にはラジオの国から追放された人間たちがいて、彼らは永久に電波を手探りし続ける放浪者になる。もしかして…

こうもり

本を買いに自由が丘へ。大岡山⇔自由が丘を歩く。途中、緑ヶ丘⇔自由が丘の遊歩道では夕暮れの空をこぶりのこうもりが飛んでいた。「一生懸命生きていれば、明日が待ち遠しいっす」 これは昨日観た芝居のセリフ。人を信じられない、でも幸せになりたい人々の舞…

厄介なこと

ちっとも学ばない。今度は豆腐チゲを作りすぎて、明日まで三日連続チゲ食。おでんほどは、つらくない。「どんなに人は、千差万別あるとはいえ、私のことを分ってくれ、ほんとの私はこれだ、と訴えつづけていることだろう。わざと隠しながら、分ってくれ、見…

支配と服従

今夜もおでんを食べた。作りすぎて毎日おでん。つらい。韓国のハンセン病の島を舞台とした文学作品の翻訳企画を編集者とやりとりする。島を舞台にした、当事者たちが知らず知らず巻き込まれていく、支配と服従、権力と抵抗の物語。ワインを一本あける。

いもじょも

おでんを作る。ベケット「ゴドーを待ちながら」、草森紳一「本の読み方 墓場の書斎に閉じこもる」を斜め読む。水牛老師の聞き語り本のプロローグ原稿を書く。頭痛がする。珈琲を飲む。1961、ひっくり返して反対から読んでも1961。小さな発見。小島信…

1Q60年代

ラジオからは広沢虎造の次郎長伝が流れている。鋳物工場の近代化についていけず、組合と言えばアカだと思い、どんな仕打ちをされても親方を立てたい職人気質の父ちゃんがいる。貧しい者は、貧しいゆえに、自分を高める機会に恵まれないのかと疑問を投げかけ…

呟く

9月13日、日曜日、twitterで初めて呟いてみる。 朝から夜にかけて。横浜→大井町→大岡山。電車の友は『道化師の恋』金井美恵子、『闇の奥』コンラッド。 5日前に目黒で『闇の奥』をぱらぱら覗き込んでいたときには、BGMにビートルズのwhite albumのナ…

歌い、観る

11日、上智大学ミュージカルサークルの公演「Earnest in love」を神楽坂で観る。歌い踊るのを楽しんでいる様子はなかなかよし。この子達は、ミュージカルが大好きなんだろうな…、と「好き→突き動かされる」という一直線な心と体の動きを、微笑ましく、羨まし…

…いいたまえ、何を見たまいしや? byボードレール

さてさて、小島信夫の『私の作家遍歴』を読み始めたら、あんまり面白くて、他のことが手につきません。予定していた仕事が全く捗りません。正直、最初は、「まずは小泉八雲を語るのね、ふーん、どれどれ」くらいのものだったのだが…。ちょっと、これは類まれ…

書くこと、考えること。

ウィトゲンシュタイン曰く「思考するとは、シンボルを操作することだと言えるだろう」(哲学的文法?)、「「だが、記号操作は機械的に行なうこともできるではないか」―確かにそうだ。つまり、記号操作もまた、それが機械的でないと言いうるためには、特定の…

愚劣さ

5日(日)、東急文化村オーチャードホールで「ワーグナー・ガラ・コンサート」。「タンホイザー」序曲、「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と“愛の死”、「ワルキューレ」第3幕。ワルキューレを聴くと条件反射で「地獄の黙示録」を思い出す。ブリュンヒルデ役…

未知の故郷

サローヤン『人間喜劇』の人々が暮らすイサカは、放浪の末に人間がたどりつく「故郷」であるらしい。ここにやってくれば、故郷を探し求める人間たちの旅も終わるらしい。イサカはホメロスの手になる「オデュッセイア」の主人公、トロイ戦争の英雄オデュッセ…

うるわしき日々

名古屋に暮らす弟夫婦が久しぶりに上京。台風余波の雨の中、車で我が家まで来てくれた二人と、環七沿いの「木曽路」ですき焼き。美味。文芸創作を受講した学生たちの課題が続々届く。ひとりひとりにコメントを送る。20歳でしか書けないような文章に出会う…

耐え難い<希望>

ブロッホは、世界との係わり合いの方法として、観照の代わりに、希望を提案する。 ブロッホは哲学を未来へ、<まだ・ない>ものへと向けることを提案した。 ブロッホの考えでは、未来に開かれた哲学は、世界を変えることに関わる意志を内包している。 以上、…

マザコン

昨日、私のもとにやってきた本たちの名前。『異邦人は君が代丸に乗って』(金賛汀 岩波新書) 『我が名はアラム』(サローヤン 三浦朱門訳 福武文庫) 『はつ恋』(ツルゲーネフ 新潮文庫) 『和歌とは何か』(渡部泰明 岩波新書) 『いつも心に音楽が流れて…

本を語る

日頃、ウタ会、ノミ会、と歌って飲んでいる友人たちと、今度はヨミ会をする。大昔読んで、今ではそのタイトルとキャッチーな一節くらいしか記憶にないような、いわゆる名作を再読しようという酔狂な会。その第一回はカミュ『異邦人』。メンバー1が辺境とい…

居心地の悪い教室。

昨日、恵泉女学園大学での「文学方法論」の集中講義終了。「文学」や「方法」という言葉から学生たちが連想するものとはまったくかけ離れたことを語り合う授業になった。 一言で言えば、自分のなかでもやもやしている自分を取り巻く世界に対する違和感、問い…

暇つぶし

『小説修業』保坂和志あとがきから。 - 小島さんの書いたものを読んでいると、「理解する」ということがじつは薄っぺらいことだということがだんだん実感されてくる。小説を読んで、その小説が言わんとするところを「理解した」と思ったとき、私たちはそこで…

ウナギ話法ぬらりくらり

8月14日、恵比寿の写真美術館に『ジョルジュ・ビゴー展 -碧眼の浮世絵師が斬る明治-』を観に行く。 洗足池から池上線で五反田に抜けて、そこからJRで恵比寿に向かおうとしたところで人身事故。小心な私はまさに事故が起きたばかりらしい五反田駅のホームにな…

匂う町

8月12日は静岡方面に向かう予定であったが、地震のため中止。私は閉所高所暗所地震がダメ。代わりに中華街〜鶴見〜鶴見線ツアーへ。 鶴見線終点の扇町は、母方のおば一家がかつて住んでいたところ。まだ小学校にあがる前に母に連れられて何度か鶴見線に乗っ…

揺れる

地震。 関東大震災後の東京を歩いた芥川の文章、折口信夫の文章、沖縄出身の比嘉春潮の文章をふと思い出す。恐怖にかられた虐殺が市民によって繰り広げられた震災後の風景、地面が揺れると、人間の心の底の闇も揺れてひび割れて魔を吐き出す。フーコーを読ん…

愛のゆくえ

訪ねてみたい図書館がある。 アメリカンのサンフランシスコに、もっと具体的に言えば、サクラメント・ストリート3150にその図書館はある。黄色いレンガ造りの図書館。朝九時に開館して、夜9時に閉館する。でも、入口のドアの脇にある鐘を鳴らせば、いつ…

愉快風呂敷

チェホフ『ワーニャ伯父さん』 内田百輭『冥途』 宮本常一『忘れられた日本人』中の「土佐源氏」 金子光晴 詩「オットセイ」、「もう一篇の詩」 山之口獏 詩「存在」 韓龍雲 詩「服従」集中講義の日々の課題を学生たちが書いてくる。その文章の中に渦巻く声…

戦闘開始

明日3日より、五日連続の文芸創作集中講義。これで5回目となる。毎回学生の顔ぶれは変わり、毎回教室の空気も異なり、そのなかで、学生ひとりひとりに真正面から向き合う体力気力勝負の講義。彼らに対して文章作法といったハウツーめいたことは一切語らない…

恋と革命

あ、明日はみなとみらいで花火だった、なぜ今日来ちまったんだ…と、なんだかしくじったような気持で、横浜のインターコンチネンタルホテルのカフェから午後の港を眺めた。 元町をはしからはしまで一往復した。途中、ポンパドールの角の路地をちらと横目で見…

希望は方法である。

恵比寿の東京都写真美術館に行く。わが友アン・ビクトル(旧ソ連のコリアンディアスポラの写真家)の写真が都写真美術館に収蔵されることになりそうで、その打ち合わせ。2004年に東京、福岡、熊本で「百年の記憶」というタイトルで巡回展示された、中央アジ…