2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

阿国と佐渡

出雲の阿国が一六〇三年に京都に姿を現わす前に、佐渡ヶ島に下向していたという説がある。(慶長見聞録案紙)。一五九〇年代末に既に京都で名を知られていた阿国の、一六〇三年までの数年間の空白は、佐渡のような場所への地方巡業ゆえのことと考えると大い…

 いつの世も都市生活は、歌謡を求める。

と、『歌舞伎以前』(岩波新書)の「黄金世界」の章で、林屋辰三郎は、安土桃山黄金世界の繁栄の中、堺の町衆に象徴される武家や公家の世界とは異なる、人間的欲求を自由に放縦に歌う歌謡が現れたと語る。たとえば、町衆の愛唱歌とされる「閑吟集」(1518年…

 直江の浦の沖合の波を想う

4月に上越を旅したとき、なにより印象的だったのは、北陸道から佐渡の方へと眺めやる時の海の風景だった。 風が吹けば、東から、西から、白く荒ぶる波がぶつかり合い、砕け散る。 四海波、と呼ばれる風景。この風景が念頭にあったのだろうか。 説経節「山椒…

6月15日より八王子市民となりました。

つい最近まで、横浜で生まれ育った私にとっては、八王子ははるか彼方の遠い土地だったのだが、なぜだかさまざまな因縁が重なって、気がつけば八王子近辺で家を探し始め、あれよあれよという間に八王子駅徒歩圏内の丘の上に新居を構えることに。 八王子は桑の…