2018-06-13から1日間の記事一覧
あんじゅが姫が父を探しにゆくと言うと、母は反対する。 寂しがる、悲しむ。「小枝が裂けるつぁ この事か/血の涙ぢぁ この事か」 「そごでもないよ母上様/私は右の小指一本/切って置いて行くから/われぁ来るまで何年でも/これを舐めれば/腹もしきれな…
「こんなに困難盡し終へでも/母ど致するものもなし/年は7つの年に/頃は四月の春の頃」(3つの年から、7つまで、「津軽三十三観音、六十余州/日本全国、西国三十三観音みなかげで」旅したわけです。この放浪は、まるでスサノオの放浪のようでもあります。…
1.三途の川の橋のところで南無大姉様(神)に歌掛け(「あぶらおんけと三遍もうだをかげたるなれば」)、油売りがやってくる!「この油紙を張って水を汲め」あぶらおんけのおまじまいが、あぶらうりを呼び出す、という声の力! 2.「咽せ咽せ行て見れば」…
「太鼓三味線の音がする/あれの音ではないかと/急いで行て見れば/丹後の国の奥の山で/さんそう太夫が先ぎだちして/天の明神様弟のふりやいが悪い為に/石のから戸に身体をおかくれ致した時分に/さんそう太夫が太鼓三味線で/つゆのお神楽あげでら音で…
「死んだものだべが/生きだものだべか/掘りあげで見れば/私の身の上は/死んだわけでもなし/成長(おが)つて笑ってる身体である」 なによりすさまじいのは、ここの部分。 土の中で育って、笑っている体。 この体が、たった三歳の体が、おそれおののいた…
●おさだを憐れんだ村の長者が、からの国の加藤左衛門を紹介してくれる。 (からとは唐なのか? 加賀なのか?) (加藤左衛門とは、五大説経の一つ「刈萱」の主人公の父の名前ではないか。近代以前、誰もが知っていた説経系の物語は、相互に溶け合っているよ…
●母はおさだ、加賀の生まれ。 (加賀からの移民という、当時の人の流れを想起させる) ●兄はつそう丸 …(説経「山椒太夫」から来た名前だろう。在地の神が物語を乗っ取る) ●姉はおふじ、 ●最後があんじゅが姫。 (安寿姫でもあり、庵主が姫でもある。母さだ…
『お岩木様一代記』(坂口昌明編 津軽書房)より 地域の鎮守神の崇高さを称える『神道集』の感覚は、現代の私たちが『お岩木様一代記』を理解するのに大切な、鍵のひとつと思われます。 (『神道集』は)はじめその考え方が比叡山系の寺院周辺から流れ出した…
<『お岩木様一代記』についての柳田國男の感想> ・語り手の文作の多いこと ・是非とも守るべき伝承の少なかったこと ・之に加ふるに忘却と誤解あり ・聴手の曲従もしくは容認 ・新しい文化の意識せざる影響 ・ハンカチとカバンは殊に驚く ・現代文学の印象…