2018-12-11から1日間の記事一覧

タオの勇士の条件は極めてシンプルだ、しかし、きわめて難しい。近代によって牙を抜かれ、本能を殺された者たちにとっては。

ヤミ族の勇士の基準は、舟を造り、家を建て、トビウオを捕り、シイラを釣り、物語を上手に話し、詩を吟じる、これらのことがすべてできる、ということだ。

みずからの人間再生のための文学、消費者ではなく生産者であり、みずから生きると同時に生かされえている命としての人間であるための文学。

シャマン・ラポガンの描くタオ族の美しいシイラ漁の情景を読む。 それはシャマンがシイラを釣り上げたあとのこの描写。わたしはシイラの、閉じたり開いたりするえらをずっと見ていた。櫂を漕ぐ手は止めていた。はるか遠くからの歌声が鼓膜を打った。歌声はこ…

『冷海深情』。新たな世界のための神話としての海洋文学はここからはじまる。

●「冷海深情」より「海は、歌い終わらない詩だ」と、シャマン・ラポガンの父は言う。 父と伯父は、詩で語りかけ、詩でこたえる。 ●「海の神霊を畏敬する」より。 「伯父が言うように、潜水漁の名手になるほど、漁獲は少なくなる。なぜなら、ほしい魚だけを選…

海の民タオの祈り。タオの作家シャマン・ラポガンの文学それ自体が祈りなのだ。歌なのだ。

●亡くなった子のための祈り「子どもよ、気を付けておまえの道を歩いて行くのだよ」「願わくば我らの膝から生まれた長女をお受け取りください この娘のお蔭で我らは祖父母となりました 娘を導いて白い島へお連れください 願わくば我らをシロカモメのような善…