2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

石牟礼道子『草の道』メモ  求広大無辺之宝土候之上ハ火宅之住所不令望候(原城からの矢文)

もう30年も前のことになるのか。 石牟礼道子さんの天草探訪の旅に1度だけお供したことがある。 原城跡を訪ね、鈴木神社にも伺った。 当時はこの度が『春の城(アニマの鳥)』に結実するとはまったく知らなかった。 私にとっては初めての天草の旅だった。 『…

石牟礼道子『アニマの鳥』メモ2  しもじもの声

第5章 菜種雲 おうめ。 あたいの仕込む酒はな、甕の中で、ナマンダブ、ナマンダブちゅうて泡の立つとぞ。お念仏唱えん者には、呑ません 。 顔を見たこともない殿さまや、代官所の役人たちがどのくらいの人間だか知らぬが、わが身を使って働いたことのない者…

水俣で漁師の話を聞く。

一昨日5月16日、溝口トヨ子ちゃんの鎮魂大芸能祭にために訪れた水俣で、20年ほど前に不知火海での夜明けの太刀魚漁に連れてってくれた漁師のTさんに、ばったり会った。 この20年ほどの間に海はずいぶん変わったとTさんは言った。 まず、太刀魚が取れなくな…

「居場所を失くしたカミサマたちの歌」

「居場所を失くしたカミサマたちの歌」 悪いことをしたらカミサマのばちがあたるというけれど、 問題はそのカミサマがどこにいるかということでして、 まだ私がタンポポの花やテントウムシくらい小さかったころに、 おばあちゃんがそう言って教えてくれたこ…

石牟礼道子『アニマの鳥』メモ1 四郎の言葉集

四郎の言葉を石牟礼道子の言葉として聞く。 第三章 丘の上の樹 P100 四郎「数というものを追うてゆけば、前にも後ろにも限りがなく、ついには虚空となり申す」 p102 四郎「人を売り買いする船のカピタンも水夫も、みな南蛮経を読む人びとであるのを想います…