心を入れ替え、衣も替える

小唄の話を書きっぱなしで、二年ほど忘れていた日記を、今日から、きちんと書くこととする。
小唄しばりをほどいた、几帳面ではない、日々雑録。


今日、出会いなおした歌。室生犀星の詩。


ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの
よしや
うらぶれて異土の乞食となるとても
帰るところにあるまじや 
ひとり都のゆふぐれに
ふるさとおもひ涙ぐむ
そのこころもて
遠きみやこにかへらばや
遠きみやこにかへらばや


この詩を文字で読んだのではなく、声で聴いた。
60年間、生まれ故郷に帰ることが叶わなかった、ひとりの男の声で。
彼は、数十年前、この詩に出会って、一回だけ読んで、心に刻んで、それから、けっしてこの詩を忘れることなく、今まで生きてきたと言った。