蠅の苦しみ by エリアス・カネッティ

単行本の構成を繰り返し考えては、考えをまとめるために、というか気を紛らすために書棚からいろいろな本を引っ張り出す。

久しぶりに目にしたエリアス・カネッティ「蠅の苦しみ」の一節。

「世界の息吹から遠ざけられて、おまえは、息吹どころか風も入らない薄暗い牢獄に入れられているのだ。親しいもの、個人的なもの、確実なもの、そういうものはすべて捨ててしまえ。親密なものはみな捨て去るのだ。大胆になれ。どんなに長いことおまえの耳は眠っているのだろう。独りになれ、そして、だれにも通用しない言葉、世界の息吹が与える別の新しい言葉をみずからに向かって語れ」

今朝の東京は強い風が吹いていた。とりわけ我が住まいのある丘の上には。