ハンセン病回復者の上野正子さんのお宅に一泊。夜10時、水しか出なくなった療養所の大きなお風呂で二人だけでハダカのおしゃべり。
ハンセン病国家賠償訴訟で勝ったその瞬間こそが人間回復の瞬間だったと上野さんは話す。しかし、それはけっしてきれいごとではない。人間になったということは、人間の尊厳や人間の権利を取り戻しただけでなく、人間の汚れにも澱みにも濁りにも匂いにもまみれること。ハダカで話せば、話もきれいごとだけではすまなくなってくる不思議。
で、服を着ている今は、ハダカでした話をそのまま書くのはルール違反のような気がするから、ただ一言。「人間って、なんだかな…」。
「アートをはじめるまえにやっておくべきこと」を斜め読み。才能ということについて京都造型芸術大学教授椿昇が言う。
闇の量が少ない子は、将来的には闇に耐えられなくなる。一人でアーティストやるということは孤独だから。そういう絶望的な状況に陥った時に、一人で歯を食いしばらなければならないわけで、小さい頃から闇のある子はそこが違う。だから、才能というのは、覚悟ができるかどうか。腹をくくれるかどうかですよ。
共感、同感。