音は見て覚える、手に叩き込む。

ようやく単行本の再校ゲラのチェックを終える。これまでゲラで直しを入れることはほとんどなかったのだが、今回に限っては、これでもかこれでもかと直しを入れている。元原稿が新聞に連載された時から数えて、足かけ3年。本気で連載原稿の改稿に取り掛かり始めてから半年。今月末には三校も戻して、ようやく一区切りとなるはず。長かった…。虚脱。

本日夕方は目黒にて小唄のお稽古。お師匠さんが先週から取り掛かった三味線の曲の譜を、今までのようには書いてくれず、「私の手を見なさい」と言う。相対して座っているお師匠さんの手を見、口三味線を頼りに、音を見て、手に叩き込んで、覚えていく。と、口で言うのは簡単だが、実際には譜に慣れきって頭で覚えて弾くのが倣いになっている身には、音を見て手に叩き込むのは至難の業。つくづく頭でっかちであることよ…。

野間宏を読みはじめる。来月参加するシンポジウムの予習。「文学よ、どこへゆく? ―世界文学と日本文学―」という空恐ろしいテーマ。