微熱のむじな

自分の体のことに疎い。寒いのか、寒気がするのか、しかと分かるまでに時間がかかる。そもそも昨夜は寒かったのか、寒気がしたのか、いずれにせよ、本日は微熱。

昨日は上野の森をそぞろ歩いていた。霧雨。美術館では「ネオテニー・ジャパン 高橋コレクション」。ネオテニーとは、「幼形成熟」の意。幼いまま性的に発達する進化の過程を指すものらしい。わかりやすいところでは奈良美智村上隆をはじめとする、いま世界で注目を集めている日本の現代アートのある部分。たぶん、何より病んでいて何より過剰で何より自家中毒で何より不幸で何より幸せな部分。
ナイフ投げ中毒患者鴻池朋子はよかったな。度外れ自己チューできやよいもよかったな。彼女たちはおそらく私の病気の部分とリンクしている。
上野の森をあとにして、「f植物園の巣穴」(梨木香歩)を読みながら、山手線一周。人間は穴に落ちる生き物なのさ、わたしもあなたも誰も彼もみんないろんな穴のむじななのさ、と山手線上でぐるぐる唱える。