ものに狂うてみしょうぞ

「この者を、一引き引いたは、千僧供養、二引き引いたは、万僧供養」と、書き添えされた土車に乗せられたるは、餓鬼阿弥陀仏、その正体は閻魔大王の計らいで地獄からよみがえった小栗判官
その土車を、餓鬼阿弥陀仏が夫・小栗と気づかぬ照手姫が、心は、ものに狂わねど、姿を、狂気にもてないで、引けよ、引けよ、子どもども、ものに、狂うてみしょうぞ……。

役者の中西和久さんから、「をぐり考」の案内届く。7月25、26日に新国立劇場・小劇場で演じるのだそうだ。たったひとりで65役、説教節を舞台で演じる。この舞台を熊本・山鹿の八千代座で観たのは何年前のことだったろうか。それは、見るも無残に腐れ果てた餓鬼阿弥陀仏(=小栗判官)のよみがえりの物語に、ハンセン病の物語を織り込んで演じられた舞台で、その時桟敷席には菊地恵楓園の入所者の人々が招待されていた。


というわけで、不意に思い立ち、明日は小栗判官ゆかりの藤沢遊行寺時宗総本山)へ。帰りは江ノ電に乗って鎌倉をそぞろ歩いてこよう。最近、旅が足りない。毒が足りない。