ふと「かったい道」のことを思い出して、『日本的思考の原型』(高取正男 平凡社ライブラリー)を読み返す。「かったい道」とは人知れず、癩者が旅する隠れ道。「この世と交わるのを拒絶された人たちが、死ぬまでまわりつづける道」。宮本常一の『忘れられた日本人』所収の「土佐寺川夜話」には四国の山中をひとり歩いていたハンセン氏病の老婆の話がある。この世の隠れ道、目に見えぬ道の話。
小唄のお稽古。「伽羅の香り」と「世間に添わせぬ」を今度の土曜日に舞台上で歌う。稽古帰りに書店でサガンを立ち読み。
原稿20枚脱稿。ほっとしたから分厚い本を読もう。「老いぼれグリンゴ」が私を呼んでいる。