鉄ちゃんに敬礼

午前七時に新宿駅西口から高速バスに乗り、松本→新島々→上高地着午後一時。上高地帝国ホテルにタッチ&ゴー、午後三時半には白骨温泉行きのバスに乗り、午後四時半過ぎに白骨着。駆け抜ける突風のような小旅行。
ホテルの背後には雪をかぶった穂高。でっかいなぁ、穂高
上高地ではもう紅葉も終わり、冬の到来。熊笹と白樺と落葉松の林を抜けて向かった河童橋あたりは人、人、人。
人の少ない秘境白骨では、中里介山大菩薩峠」の記念碑発見。大山大明神が祀られている素朴な木の鳥居の集落の神社の境内の片隅にある。揮毫は白井喬二。記念碑に寄り添って立ってみる。ふっと、峠で机龍之介に試し斬りされる老巡礼のような心もとない心持になる。運命は不意にばっさりとやってくる。

そう言えば、新島々から上高地に向かう途中に野麦峠を通った。ああ野麦峠




松本電鉄上高地線新島々駅鉄子魂が震える。地元の人ばかりが静かに乗る車内で、私ひとり落ち着かない。
ものぐさ太郎発祥の地・新村をこの単線電車は走り抜けていくけれど、車窓からは勤勉な農耕民族の暮らしの風景。端正な畑、畑、畑、刈り入れ済みの田んぼ、田んぼ、りんご園、柿の木。
膝小僧くらいの丈の一面の萎れたひまわり畑はいったい何だったのだろう? 
大庭の駅のすぐそばの踏み切りで電車を見あげて敬礼している小学生男児、小さな鉄ちゃんを発見。思わず、心の中で敬礼して応える。


松本・中町、遊芸館。小さなお座敷。地元のある流派の方々が観光客向けに端唄の実演をしている。ここはいろんな意味で、かなりツボにはまった。そのホスピタリティに感動。思わず笑みがこぼれる。必見。