取って読め

いま、私のまわりで、とっちらかっている本。

神谷美恵子・エッセイ集? ―いのち・らい・精神医療―』(ルガール社)
『生きがいについて 神谷美恵子コレクション』(みすず書房
罪と罰の彼岸』(ジャン・アメリー 法政大学出版局
『「大菩薩峠」を読む』(今村仁司 ちくま新書
大菩薩峠』甲源一刀流の巻、無明の巻、白骨の巻
『告白』(聖アウグスティヌス 岩波文庫
『今こそアーレントを読み直す』(仲正昌樹 講談社現代新書
現代思想の断層 ―「神なき時代」の模索』(徳永洵 岩波新書

夜、寝しなに手にとってパラパラ眺めていると、アッという間に時が流れて、外で新聞屋さんのオートバイの音が聞こえる頃に慌てて本を閉じて、寝る。気がつけば、すっかり夜型。不健康。

「すると、どうであろう、隣の家から、男の子か女の子かは知らないが、子どもの声が聞こえた。そして歌うように、「取って読め、取って読め」と何度も繰り返していた。しかしそのような歌はどこでも聞いた覚えはなかった。それでわたしは溢れ出る涙を抑えて立ち上り、わたしが聖書を開いて最初に目にとまった章を読めという神の命令に他ならないと解釈した。…(中略)…わたしはそれを手に取ってみて、最初に目に触れた章をだまって読んだ。「宴楽と泥酔、好色と淫乱、争いと嫉みを捨てても、主イエスを着るがよい。肉の欲望を充たすことに心を向けてはならない」わたしはそれから先は読もうとせず、また読むにおよばなかった」

アウグスティヌス回心の瞬間。
このような劇的な回心はわが身には起きないが、塵のように小さな回心は、何度も、繰り返し。風が吹けば、すぐ跡形もなく消える。