蘇生

「百年はもう来ていたんだな」
漱石の『夢十夜』の第一夜は終わる。「百年、私の墓の傍に坐って待っていて下さい。きっと逢いに来ますから」と言って息絶えた女との約束を守って待ち続けて待ちくたびれて騙されたのではとさえ思い始めていた男の、気づきの一言。
気づいてよかった、気づくまで百年は来ないのだから、気づかなかったら逢いにきても逢えないのだから。

さて、私もまた、百年の眠りから本日、蘇生。きっと誰かが気づいてくれたはず。