ここ数日の話。
月曜日。24年ぶりに大学の同級生に会う。ある雑誌のインタビューを受けたのだが、そのインタビュアーが同級生だった。彼は弁護士で、その雑誌の編集委員をしている。私の知らない、大学生の頃の私のことを、彼は思い出として語り、彼の中の私に出会った私は、なんだか不思議で新鮮で懐かしいような気持ちになったのだった。再会を約することもなく、24年前のように「じゃあね、また」と別れたが、彼とは、きっと、またいつか、どこかで再会して、そこでまた、私の知らない私に、私は出会うのだろう。
火曜日。なぜか家のそばのバーミヤンで、まだ明るいうちから、ひたすらビール。自分の立ち位置を見つめなおすほろ酔いの時間。人と人との距離の仕切りなおしの時間。蟻のような自分と、巨人のような自分との振れ幅のなかで、振り子がちょうどいいところで止まるまで交わされた会話。
水曜日。朝から夜までひたすら翻訳。訳了まであと40ページ。なるほど、この作家は小説をこんなふうに緻密に構成して書いているのかと、原作者の小説作法を確かめつつ、原作者の言葉遣い、息遣い、鼓動を、自分のほうに手繰り寄せる。彼の体から出てきた言葉は、私の体を通過して、新しい命を孕む(はず)。