千葉市美術館に、ドライブがてら田中一村展を観に行く。本日が最終日。列をなして人々がやってきていることに驚いた。一村がこんなに一般レベルで注目を集めていたとは。迂闊。

6歳で南画を描き始め、神童と呼ばれていた少年時代から、東京芸大に入学するもすぐに退学した青年時代、南画の伝統的画法から試行錯誤、模索を重ねて独自な画法を切り拓いていくにつれ、世に受け入れらなくなっていく壮年時代、そして奄美で暮らした晩年、その時代時代の絵が、習作や構図を取るためのスケッチも含めて、これでもか、これでもかと並べられている。

描くことと生きることが分かちがたく結びついたひとりの人間の、与えられた型には収めきれない生のありようが、葛藤と苦しみと痛みを伴いながら、絵筆によって描き出されていく、その執念と情念(=毒)が身に染み入ってくる展示。

こんなにしてまで生きるのか、こんなにしてまで生きねばならないのか、描かねばならないのか……。

そんな思いに打ちのめされる展示。

今日は、一村の毒をあおって、自分の中の秘めたる毒が疼きだした、そんな一日。