ラテン沖縄

友人の画家屋敷妙子と、新潟・柏崎への旅の打ち合わせがてら、鶴見線浅野駅界隈を歩く。画家はさんぴん茶、私はグァバ茶のペットを片手に(沖縄物産センターで買った)、仲通り商店街、潮田銀座をうろうろ。ともに戦前からの沖縄人、朝鮮人の集住地区、狭い路地に入り込んで表札を見て歩けば、金本、高山、利川、石、高良、渡久地、比嘉、仲村……、今では日系ブラジル人も少なくない、(とはいえ、この不景気でずいぶんブラジルに帰っていったと潮田交番のおまわりさん)。

ブラジル料理のレストラン パライゾで、お薦めのわらじのように大きいステーキを食べた。画家もまた、たっぷりとチーズののったわらじのように大きいカツレツを食べた。ちょっと食べこなせない。やはりわれらは肉食ではない、(いや若くはないというべきか)と痛感した。店の中は完全にブラジル。私たち以外の常連らしいお客さんとの間では、ポルトガル語が飛び交っている。しかし、この店は鷹揚、ランチタイムが終わって店を閉めるというのに、「いいよ、店の中でのんびりしてて」。

この町で16歳の日系ブラジル人の少女と友達になった。日本に来て、まだ一年余りにしかならないというのに、来日前は日本語はしゃべれなかったというのに、今ではとんでもなく日本語がうまい、しかもポルトガル語スペイン語、英語、フランス語を話すという、韓流ドラマが大好きで韓国語はテレビを観ながら聞き覚えたという(話すことはできないが、聴き取りはほぼできる)。いったい耳が心がどれだけ異文化異言語に開かれているのだろう。弁護士になりたい、そのために勉強したいと将来の希望を語る彼女に、日本社会はどれだけ開かれていくのだろう、そんなことを思った午後。そうそう、彼女が顔を赤らめながら話した恋の話、実るといいなぁ。(テレビの韓流スターを見ても16歳の彼女は顔を赤らめていたのです)。

鶴見区は多文化多民族共生を目指している。

今日も浅野駅のホームには猫どもが何も恐れず遠慮もなく寝そべっていた。