メモ 『オイディプス王』

オイディプス王』を読む。

オイディプス:テレイシアス、言葉に語りうるもの、語りえないもの、天の不思議、地の神秘、すべてを洞察してやまぬ予言者よ、たとえその目はみえずとも、国がいまどのような災厄に襲われているかは、おんみの心にはよくわかっていよう。

オイディプスの悲劇=不条理を知る者は、盲目の予言者テレイシアスのみ。目の見えぬ者が、見えず聞こえず語りえぬことを知る)


報せの男:すなわちあのかたは、妃の上衣を飾っていた、黄金づくりの留金を引き抜くなり、高くそれをふりかざして、御自分の両の眼ふかく、真向から突き刺されたのです。こう叫びながら。――もはやお前たちは、この身にふりかかってきた数々の禍も、わしがみずから犯してきたもろもろの罪業も、見てくれるな! いまよりのち、お前たちは暗闇の中にあれ! 目にしてはならぬ人を見、知りたいとねがっていた人を見わけることのできなかったお前たちは、もう誰の姿もみてはならぬ!

(父を殺し、母を妻としたみずからの闇を知ったオイディプスは、何も見抜くことのできなかったわが眼をつぶす)


コロス:されば死すべき人の身は はるかにかの最期の日の見きわめを待て。
    何の苦しみにもあわずして この世のきわに至るまでは、
    何びとをも幸福と呼ぶなかれ

(凄まじく理不尽なる教訓。 「汝みずからを知れ」  しかし、どうやって?) 


ふらっと散歩に出て、古書店で、宇野浩二『蔵の中・子を貸し屋』(岩波文庫)を入手。