報告

宮沢賢治グスコーブドリの伝記」をあらためてきちんと読む。賢治の童話は小学生の時にたいていは読んだのだが、なぜか、「グスコーブドリ」だけはどこでどうつまづいたのか、ちっとも読み進められなくて、途中で投げ出して、以来、読もうともしなかった。つまりほとんど40年ぶりの再読。これが実に面白い、というか、なんとも含蓄のある、今だからこそ、人間たちに向けた深い祈りを感じる物語。40年かけて、私がやっと「グスコーブドリ」に追いついたということだろうか……。あまりに鈍足。

井上ひさしは、賢治の詩や童話には、仏教系歌謡の韻律が隠されているという。賢治の詩や童話は「お経そのもの」と言う。祈りとしての詩、そして童話。



『報告』 宮沢賢治

さつき火事だとさわぎましたのは虹でございました
もう一時間もつづいてりんと張つて居ります
             (大正11年6月15日)