4月6日  cafe diaspora 出会った、飲んだ、歌った、そしてまた旅

さてさて、慌ただしい日々です。

去る4月6日、『旅する対話』(ザーラ・イマーエワ・姜信子共著 春風社)刊行記念と銘打って、
この日一日だけ、ほんの3時間だけ、一夜限りの、
café diaspora! 
をオープン、
東京に、荒野の旅人たちの宴の場が出現、「旅する対話、旅する歌」のひとときを共に! 
ということで、これがなかなか楽しかった。

cafe diaspora に集った旅人は、こんな人たち。

ザーラ・イマーエワ(とりあえずの暮らしの場アゼルバイジャンのバクーから。チェチェン人、映像作家)
姜信子(とりあえず、在横浜。地に足のついてない物書き)
玉川奈々福(とりあえず、在東京。ほとばしる浪曲師)
後藤幸浩&水島結子(とりあえず、在東京。旅の琵琶弾き)

まずは、ほとばしる浪曲師 玉川奈々福による寿ぎの「阿呆陀羅経」で、カフェオープン。
木魚叩いて、勢いつけて、邪気を払って、幸を呼び込んで、
あんまりばかばかしくて、悪も魔も寄りつかない。





そして、一応、出版記念の会と銘打っているので、私とチェチェン人映像作家ザーラ・イマーエワが映像を寄せて、文章を寄せて編んだ、カザフスタンの荒野の旅の記録『旅する対話』を掲げつつ、カフェ店主(=私)挨拶、そして、旅の道連れザーラをお客様に紹介!




 この日の何よりの目的は、本は、まあできたのは嬉しいけれど、それよりも、本の出版を口実に、みんな集まって、出会って、縁を結ぼう、そして、ザーラ・イマーエワをみんなよろしく! すごい映像作家なんだよ、とってもいい作品を作るんだ、みんなに彼女を知って欲しいんだ、ということであったわけです。

それと、もうひとつ、日本にいてもなかなか触れることのできない、日本の旅する語りの世界を、ザーラに見て聴いてほしかった。日本の友人たちも一緒に楽しんでほしかった。ザーラの映像は、音が響きあい、音が語りかけてくる、そんな音楽性に溢れた映像なんです。だから、「語りかける音」のある場をと思ったんですね。場を共にすることで、ことさらに知り合おう、ことさらにつながろうとしなくても、旅する人たちがおのずとつながっていく、そんなcafeの空間を出現させようという野望(?)もそこにはあった。そして、野望を一緒に楽しんで、一緒にcafeをつくりあげてくれた友人たちがそこには集っていたのです。



 お料理は、韓国風おつまみ。
わが母のお手製大根ナムル(切り干し大根で作る超簡単、超美味ナムル!)
わが家行きつけの朝鮮料理屋さんにお願いして作ってもらったキムチ、チヂミ、これがめちゃくちゃ美味い!
そして、『旅する対話』編集者でロック青年内藤寛さんお手製の、鳥唐揚げと春巻きの揚げ物!
ビール、ワイン、コーヒー、焼酎、日本酒、お客さまからの差し入れ多数!


壁には9年前のカザフスタンの旅の画像。前に立っておなかに映像を浴びてる女子は、花で宴の場を飾ってくれた友人。

画像向かって左の立て花が彼女の作。



私はカザフスタンの荒野の情景を背景に置いて、琵琶奏者後藤幸浩さんに即興で伴奏していただいて、『旅する対話』の中から、旅人達の独白を抜き出して、朗読。一応、出版記念の会なので、ほんの少しだけ、それらしきこともやってみようと……。






そして、本日の特別プログラム。
本邦初演! 二人琵琶による弾き語り!
現代版説経節「みなまた 海のこえ」(石牟礼道子作)の上演とあいなりました。
これは、来たる5月開催のハンセン病市民学会@熊本のために、『ミナマタからハンセンへ』というテーマのもと、石牟礼道子さんの詩的神話的世現代版説経節として作品化したものなのです。

この企画に関わる姜・後藤・水島の3名が、cafe diaspora 「旅する対話、旅する歌」にふさわしい一曲として、旅するcafeに集うみんなに是非聴いて感じてもらいたかった!

弾いて、歌って、語って、40分。私も初めて通して聞いて、いやはや、これは手に汗握る大作。後藤幸浩さんによる節づけの素晴らしいこと。みな、語りの世界に引き込まれて、ぐっと前にのめって、聞き入っていました。数日間、琵琶の音色が耳から離れないという人、続出。


琵琶演奏後の、琵琶デュオのひとり、鶴田流琵琶の水島結子嬢と花。

琵琶デュオによる現代版説経節『みなまた、海のこえ』は、5月11日と12日に、ハンセン病市民学会、熊本交流集会にて、特別企画として上演されます。

11日は熊本県立劇場、12日は菊池恵楓園にて。

詳しくはこちらで↓
http://shimingakkai.com/20130126/0315-pdf01.pdf