大阪・和泉。JR北信太駅からすぐ。葛の葉神社。
「恋しくば尋ねて来てみよ 和泉なる信太の森の うらみ葛の葉」
説経節『信太妻』より。
信太森神社。
この中に、葛の葉稲荷大社がある。地元では、ここの神社は森田さんとよばれているのだという。
森田とは、江戸の頃のこの辺りの庄屋の名。
広大な敷地を持つ庄屋の屋敷神だったのだというが、それ以前、そもそもは信太山の聖神社の末社として創建されたという。
お稲荷さんと言えば、渡来系。
秦氏とのつながりが深いと聞けば、中沢新一『精霊の王』の宿神をめぐる論考を思い起こす。
宿神、後ろ戸の神、芸能の神。
文楽で『蘆屋道満』(信太妻の物語。陰陽師安倍晴明の出生譚でもある。)をやるときには、公演前、公演後には、必ず、大夫がお詣りに来るという。
葛の葉稲荷大社。
境内の真ん中には大きな楠。
狐大明神と白竜大明神が祀られている。
ここの白竜とは、白蛇。
楠の根元やうろに白蛇たちが住んでいるのだという。
運が良ければ、「みぃさんに会える」と宮司さん。
白蛇たちのことをそう呼んでいるのだという。
みぃさんって、巳(み)さんかしらね、漢字にしたら。
みぃさんたちには生卵を供えるのだそう。大楠の根元に。
境内の裏手には、かつては滝があり、滝行が行われていた。
日本各地から拝み屋さんがその信者とともにやってきたのだそうだ。
拝み屋さんたちが信心する神々の祠の数々が境内にある。
今はもう新しい祠を建てることはお断りしているというが、それにしても、神社と言いつつ、厳かというより、どこか猥雑。
土俗の匂いのたちこめる森。
ここの神様は、縁結びと知恵の神。
私も絵馬に願い事を書いてきた。
芸能の神、知恵の神への願い事。
合わせて引いたおみくじは吉。
謙虚な心で、待てば、海路の日和あり。