猿賀神社 宵宮のイタコ

かつては猿賀様の宵宮には、大勢のイタコがやってきて、
人々は列をなしてイタコに口寄せをお願いしたのだという。
その様子が、1970年代に猿賀神社の宵宮を訪れた小沢昭一によって記録されている。

今年の宵宮では、イタコの小屋はただ一つ。
もう2、3年前から、イタコはひとりしか現れなくなったという。
その前ももう長いこと二人きりだったという。


小屋の中に入って、イタコに降ろしてほしい仏の命日を言う。
すると数珠を手繰ってイタコが歌うようにして仏を降ろす言葉を唱えはじめる。
仏の数だけ、それをやる。


猿賀神社の境内からは、獅子踊りの太鼓の音がぴりぴりと空気を震わせてやってくる。
震える空気の中で、あの世とこの世の通い路が開くようでもある。

仏にはあの世の様子を聞いてもいい、現世の悩みの助言を求めてもよいと、
順番待ちのおばちゃんが教えてくれた。

通りすがりのおばあちゃんが杖にすがって、口寄せの様子をじっと覗き込んでいる。
どうやらこのおばあちゃんも口寄せをお願いしたいようだ。
小学生の女の子が通りすがりに、「なに、これ?」と大きな声で母親に問いかけていた。


見料は3000円なり。5分で終わっても、30分やっても3000円。

でもな、やっぱりイタコならば恐山だな。
震災直後は恐山もものすごく人が多かったな。みんな仏の声を聴きに行ったんだな。
とおばちゃんたち。

私は2000年6月1日に他界した父を降ろしてもらった。