「けえらんねえら 唄いじょうら!」の趣旨

 
けえらんねえら うたいじょうら!
これは石垣島の言葉。「みなさん、うたいましょう」という呼びかけです。
このところいろいろときな臭くて騒がしいこの世の島々、石垣島をはじめとする先島(与那国、宮古)でも、陸上自衛隊の配備による島の軍事化が日本政府によって力まかせに進められています。それは琉球弧から韓国の済州島にまでつながってゆくアメリカのアジア戦略に沿った動きでもあります。
あっ、でも、ちょっと待ってください。私たちは、日米安保に反対か否かとか、積極的平和主義に反対か否かとか、今すぐここで白黒を問うような性急な議論をしようとは思っていないのです。
 
分かち合いたいのは、もっとずっと根源的で悠久の、人と風土と水といのちと唄に関わること。
たとえば、島に米軍基地が来る、自衛隊駐屯地が作られる、訓練が行われる、そこで起こるのは、近代科学の賜物である武器弾薬による「水」の汚染です。
基地や駐屯地がそこにあるだけで、「自然が破壊される」、というようなありきたりの表現をはるかに超えた事態が起きる。島々のすべての命の源である「水」が、命を破壊するものに変ずる。水俣で海に水銀が流されて起きたあの出来事のように。3・11直後、福島の原発から大量の放射線が空気中に放たれてしまったように、水の中に溶け込んでしまったように。
水。人間の命の源。島々の風土の源、暮らしの源、文化の源、言葉の源、唄の源。
だからこそ、いま、ひそかに力ずくで命の源が破壊されようとしている先島から、 
「けえらんねえら うたいじょうら!」、この世の島々に向けて呼びかけるのです。
私たちは、この世の島々が、「平和」や「安全保障」のための「軍備」や「基地」というような戦略的な発想で結ばれてゆく現実に安住することはできません。
悠久の「いのち」の声をもって、島から島へと声を結んでいきたいのです。われらの確かな声で「いのち」を語り合い、「いのち」の唄をこの世の島々に響きわたらせたいのです。
さあ、この世の島々の、すべての「いのち」のために、「けえらんねえら うたいじょうら!」
人びとよ、いのちの声のもとに、集え!