姫復活と丹後流し

「死んだものだべが/生きだものだべか/掘りあげで見れば/私の身の上は/死んだわけでもなし/成長(おが)つて笑ってる身体である」


なによりすさまじいのは、ここの部分。
土の中で育って、笑っている体。
この体が、たった三歳の体が、おそれおののいた父に板船に乗せられて、丹後へと運ばれる。
山椒太夫のもとにたどりつく。
その旅の物語を、イタコはいきなりあんじゅが姫の声で語りだす。神の声で語りだす。


童児神はたいてい一人ぼっちの棄て子である」(神話学者カール・ケレーニイ)


「あぶらおんけと三遍うだがげだ」
(あんじゅが姫は苦境に陥るたびに真言を唱える。正しくは「あびらうんけん」。大日如来真言。地・水・火・風・空を表す。最強のおまじない。修験的世界の響き)