1.三途の川の橋のところで南無大姉様(神)に歌掛け(「あぶらおんけと三遍もうだをかげたるなれば」)、油売りがやってくる!
「この油紙を張って水を汲め」
あぶらおんけのおまじまいが、あぶらうりを呼び出す、という声の力!
2.「咽せ咽せ行て見れば」 墨染のめの和尚様が刃物で葭を切ってくれる。
3.「そごさ燕が飛んで来て/さんそう大夫が居ないから/早く逃ろーと囀る音」
(神の世界に人もケモノも境はない、命は命の声を聴く)
4.丹後の国のあなお寺の墨染の和尚。
「手前とめるもよいけれども/今にさんそう大夫が来れば/われまで責められる」
「早く御飯たべで/がばんの中に入れで/屋根のぐしにさげで呉れるから」
(この和尚さまは実に人間的。いるよね、こういう人。しかし「がばん/かばん」とは時空を超えて今の言葉が祭文に入り込む、しょうがない、語り手自身が今を生きているから)
5.「寺の釈迦如来様に/うだをかげだるなれば/奥から如来様出て来て」
言うこときかないさんそう大夫に、たらいの水の水鏡を覗き込ませて、鬼の本性に気づかせる。
(鬼であることがばれたなら、さんげさんげ/懺悔懺悔、逃げ出していくのは、本名知られた「大工と鬼六」の鬼六のようでもある。)