李良枝を読むことはつらい 

以下、気になるところの抜粋  備忘のため。

 

『刻』より。

 

「在日って因果ね。韓国なんて何だ、なんて思う時もあるくせに、気になってしかたないんだもの」

「そうね」

私は素直に頷いた。言葉に初めて、チュンジャの身体、チュンジャの体臭を感じていた。彼女にも、無数の私、無数の一人称が絡みついているにちがいない。

 

 

「隠れて生きよ」

 

 

化粧が終わった。の一文から『刻』ははじまり、「私は、化粧を始めた」の一文で終わる。その間、時計の音が時を刻みつづける、確かなものは何一つない。