2022年12月19日 那覇 ちはや書房で出会った本 ラングストン・ヒューズ詩集

この2冊は、60年ほども前に、琉球大学国文科の学生で、文芸部に所属していた中里友豪さんの蔵書だったらしい。

中里さんは昨年4月17日に亡くなっている。

 

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1307449.html

 

山之口貘賞受賞詩人で、演劇集団「創造」の結成に参加した中里友豪(なかざと・ゆうごう)=本名・仲里朝豪(ともひで)=さんが17日午後11時25分、心不全のため南風原町の病院で死去した。84歳。那覇市出身。自宅は那覇市楚辺。告別式は21日午後2時から2時45分、那覇市泉崎2の103の30、サンレー那覇紫雲閣で執り行われる。喪主は妻敏子(としこ)さん。

 中里さんは琉大国文学科卒業後、中学・高校教師になった。1961年、演劇集団「創造」の結成に参加し、「アンネの日記」などに出演。85年に詩誌「EKE」を設立。98年に詩集「遠い風」で第21回山之口貘賞を受けた。2000年に戯曲「越境者」で第4回沖縄市戯曲大賞を受賞した。代表作に「中里友豪詩集」「詩集 長いロスタイム」など。

 

ビボー叢書 『ニグロと河』(1958.2.15刊)

400部しか刊行されなかったうちの一冊。 琉大文芸部中里友豪の署名。

赤いラインを引いている詩、一編

ラングストン・ヒューズに最初に出会ったのは、ハンセン病療養所の詩人の書棚だった。

 

   

  

 

 

ビボー叢書『黒人街のシェイクスピア』(1962.2.10刊)

ラングストン・ヒューズの 詩に突き動かされて書き込んだショートショートを発見した。

   

 

 

 

[ショート・ショート・ショート]

 

オレ今、酒を飲んでいる

ト・アル・バー、とはいわぬ

「ア子」で確には「朝子」のバー

惚れた、ということは一度もなかったが、

オレ、ガッコのセンセーだもんだから

ここに来るもの皆んなしてオレと朝子ヒッツケて

楽しんでいたものだ

今、「ア子」はここにはいない

トーキョーにいる

トーキョーでベンキョーしている

そのことは問題ではなかった

―――――――――

ケンカしている

酔いつぶれた平良川の青年たちがたむろして、

おおよそ理由の理にもならないコトバにつまづいて

ケンカをおっぱじめたというわけだ

ガラにもなくオレが中に入る

入ってしまってシマッタと思ってもそこはそれ

なにせケンカだもんだから後に引くわけにはいかない

そこでいってやったのだ

――オマエラそんなにケンカしたいのか、そうか、なら外にあふれている極東の勇士マリンサマとやったらどうだ、その方が手ごたえがあるだろう

と.

するとこいつら急にシンとしていったのだ

――手ごたえがありすぎる.

テヤンデーいくじのない連中だ

こいつらもデレデレと出ていったのだが

出ていって後に隣の男、

そういえばこいつまるでオレみたいな顔をして

一ぶしじゅう

ことのなりゆきを見ていたっけ

その男がいうには

今出ていった男はC・I・Cらしいというのだ

オッ、こいつはウカツだったと思ってはみたが、

そこはそれ

こういうことにはなれっこになっているので別に気にならない

強いて気になることといえば

気にならないオレのシミだらけの倦怠が気になるのだ。

それにしてもくだんの男、

ミゴトな酔いっぷりではあった

 

1962.7.7

 

注)CIC    

Counter Intelligence Corpsの略語で、米軍が占領している敵地で諜報活動をする陸軍部隊である。日本語では諜報部隊、防諜部隊、対敵諜報部隊、対諜報部隊などと訳され、訳語は一定しない。
 敗戦後の日本を占領管理していた連合軍総司令部GHQ)には4つの部からなる参謀部(General Staff Section)があり、参謀2部(G2)が情報関係を担当していた。1948年当時、G2の総勢は約3000人、そのうち約2000人が民間情報局に属し、その中に約900人のCIC第441部隊が含まれていた。CICは日本全土を6つの管区に分け、県単位で分散駐留していた。日本政府をはじめ日本各地の行政機関や警察から情報を得る一方、情報協力者の通報によって、住民の動向や重要人物についての情報収集と監視に当った。占領当初、GHQが日本の非軍事化と民主化の政策を実行していた時期には、主として旧軍人や政財界、学術・教育機関、民間諸団体の旧指導者が情報収集と監視の対象とされた。

 

http://www7b.biglobe.ne.jp/~whoyou/kokubakotaro.html#kokubakotaro2003

 

http://www.fujishuppan.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2014/03/de11404b76f857caad4a3dd8934789ed.pdf