古川日出夫『おおきな森』、おおぼらふき、おおいなる星めぐり

 

連想と妄想は音が重なり合う瞬間にホップステップジャンプでワープして、気がつけば、死者を乗せて走る銀河鉄道はこの世のすべての理不尽な死者の森を貫いて走り、理不尽な死者はあまりに多いから、世界は森で埋め尽くされている、満洲の丸太のような、死者の樹だ、無数の死者の樹だ、せかいはおおきな森だ、おおきな冥途だ、おおきな地獄だ、百年の孤独だ、そこは家族のない世界だ、死者はばらばらだ、いのちの海はどこにある、いのちを取り戻したい海は森にテロをしかけるらしいよ、(丁丁丁丁丁/      丁丁丁丁丁/叩きつけられてゐる 丁/ 叩きつけられてゐる 丁/藻でまっくらな 丁丁丁/塩の海  丁丁丁丁丁)、おおきな森を走る鉄道網には白痴と堕落の安吾もいるらしいよ、安吾と秀雄と日出夫と賢治をつなぐ見えない線をホップステップ妄想ジャンプ、あらすじは気にするな、これは反小説だから、時制も気にするな、これは反小説だから、辻褄なんぞ気にするな、これは反小説だから、これは口から出まかせの物語りだから、考えるまえに跳べ、と物語りは言う、満洲は東北で、イーハトーブも東北で、おまけに満洲文殊菩薩で、イーハトーブ法華経で、「さて、死者の私は生まれ直したのだから、遍在しよう」と物語りは言う、この死者たちのおおきな森に希望をもたらすのは誰だ? 命を蘇らせる者は誰だ? 銀河鉄道に乗車して妄想宇宙の星々をめぐって命の行方を探るのは誰だ? それは妹を探すアニではないのか?(サガレンと八月みたいにね)、それはマジックでリアルな妄想を宇宙大に膨らませて爆発させる奴ではないのか? ジョバンニ? ガルシア? それともヒデオ? 問いと問いと問いと問いと問いをつなげて命めがけてホップステップジャンプのはてに、ほら、爆発して吸い込まれる

 

終らないよ、この物語りは、ねっ、日出夫さん