この本で語られているのは―――、
いかにしてついには作られた戦争の熱狂にのまれていったのか、ということ、
そして島の民の命はどうでもよかったということ等々が、
島々の民の声、公文書、軍の資料等を駆使して、あらわにされていくのです。
そのうえさらに、上空から攻撃する
英米軍のレポートを参照することで、日本側で語られてきた戦いの物語に亀裂がはいってゆくという……。
なんだか、これだけでも十分に恐ろしい。戦争の実相が迫ってくるようです。
ところがね、昨夜『HAPAX』の「
パレスチナ小特集」を読んでいて、考えれば当然のことだけど、戦争は素晴らしく進化していることを知るわけです。
「無感性的暴力」と題されたイアン・アラン・ポールの論考では、
イスラエルの
パレスチナに対する攻撃、ジェノサイドの自動化について、以下のように語っているのです。
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「数万人の情報部員が処理できなかった」膨大な量のデータを処理し、リアルタイムで爆撃場所を推奨する
人工知能、その名も「ハプソラ(福音)」というシステムを
イスラエル軍は使っている。
デジタル化された監視装置が
パレスチナ全域に配備され、ありとあらゆる
パレスチナ人の生についての莫大な量のデータが作成される。それにより「殺害される可能性のある民間人」の数が算出される。
つまり、
イスラエル軍は殺戮を始める以前に、死者のすべてを計算済みであり、一般市民の死は
ハマス幹部殺害の巻き添えなどではけっしてない。
イスラエル軍はガザの民に避難を強いるとき、避難路に監視技術搭載の輸送コンテナを設置し、そこを通り抜けるよう命じる。
イスラエルの生体認証データベースと照合して、抹殺すべき者をあぶりだすために。
すべてのガザの民は、データに基づいて計算され、算定され、殺害される。
そこには感情はない。すべては数値化され、データ化されて、感情が発生する余地などない。
その名も「無感性的暴力」
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恐ろしいね。
これが最先端の戦争、そして世界の姿。