ばかもの

『沖縄を聞く』(新城郁夫 みすず書房)を読む。世の中では、他者の声を聞くだの、隠された記憶の物語を語るだの、いとも簡単に言ったりもするけれど、「聞く」ということ、「語る」ということがどれだけ容易ならざることか、その心構えと覚悟を持って「聞く」「語る」を、新城郁夫は実践してみせる。ソクーロフの映画『太陽』を読み開き、読み聞く第一章から引き込まれる。

『孤島 在日韓国・朝鮮人ハンセン病療養者生活記録』再読。1960年代の療養所のなかの南北対立を当時の入所者たちの文章からひしひしと感じ取る。

『ばかもの』(絲山秋子)。書かれていることが、すとんすとんと肌で分かる気がする自分がやや哀しくもある。