2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧
熊野川流域は古代から、鉄、銅、金、銀、水銀などの採掘がさかんだったから、キリクチ谷に最初に入ったのも鉱山師であったかも知れない。 だがこの谷ではじめて生業を営んで済んだ者はといえば、それは木地師ではなかろうか。木地師というのは、轆轤など特殊…
シカの目で、クマの目で、タヌキの目で、ノウサギの目で、山を歩けば、そこはあまりに生き難い荒廃した世界なのだという。山の人、宇江敏勝が書いているのは、十津川山峡での山の暮らしの今昔。 本書が書かれたのは、急激な産業の近代化によって、山における…
ゆき女の声は、石牟礼道子の声でもある、じょろり(浄瑠璃)を語って旅する六道御前の声でもある、数限りない死者たちの声でもある、石牟礼道子が言う「じょろり(浄瑠璃)」とは、「説経」をさすものと思ってもらっていい。文学が死者たちの声の賜物である…
2018年11月2日。奈良に移り住むための根拠地の立ち上げ。 あらたなはじまりへの第一歩。
場所は記憶をもっている。そして、場所は記憶することの痛みをもっている。場所は記憶をためる。そして、それは沈黙のモノガタリを語りつづける。いや、その語りは沈黙であるどころか、じつにはっきりとした声(サウンド)を放っている。それを聞く耳、その…