2011-01-01から1年間の記事一覧

世界中の子と友達になれる

うーの画伯に出会いがしらの事故のようにいきなり誘われ、横浜美術館に『松井冬子展 世界中の子と友達になれる』を観に行く。目の前にある絵の世界と、画家がその絵に付した解説がどうしてもしっくりこない、そこにある本当のなにものかが、画家が頭の中で組…

石の記憶、石の声。

12月24日、上野の森美術館にて「日本の語り芸」を堪能。演者は薩摩琵琶:後藤幸浩、鶴田流五弦琵琶:水島結子、浪曲師:玉川奈々福、曲師:沢村豊子。浪曲「陸奥間違い」にはじまり、琵琶二人組の「平家物語」、そして琵琶と三味線の即興の音の会話のなか「…

旅の言葉

『菅江真澄遊覧記』を読む。「里なかの路をくると、藁葺きの小さな家でもの音がしているのを、ひとがたたずんで聞いている。何だろうと思ってうかがえば、眼の見える梓みこが弓をはじきながら、亡き霊のことばをあたかも傍にでもいるように語り、未来のこと…

育児(?)疲れ

福永信『一一一一一』(河出書房)、古川日出男『聖家族』(集英社)、ペレーヴィン『チャパーエフと空虚』(群像社)。一歳児と遊ぶ合間に読んでいたり、これから読もうとしていたり。娘が一歳だった頃には、こんなふうには遊んであげなかったなと思いつつ…

多動な疑似一歳児

一歳児にロタウィルスをうつされ、ふつう大人(老人除く)は感染しても発症はしないものだというネットでの解説に、私は一歳児並みかと(もしくは老人かと)憤慨しながら、吐き気をこらえて布団のなかに丸まり、それでも往生際悪く本を読み続け、読んでいた…

『はじまれ』

今年初めて、(というか、生まれて初めて)、男性からバラの花束をいただきました。出版社「港の人」の代表の里舘さんが、『はじまれ 犀の角問わず語り』の刊行を祝して、出来あがったばかりの本と一緒に花束を持ってきてくださった。 嬉しい。実に嬉しい。 …

狂ってみる

済州島に行ってきた。昨夏出会った済州石文化公園の園長を訪ねた。 相変わらず園長の頭の中には済州島の創世神話が渦巻き、済州島の創造主「ソルムンデハルマン」とその500人の息子である「500将軍」が絶えることなく物語を語り続け、想像と妄想と創造は果て…

とりとめなく。

最近の読書。妄想系。物語系。東洋系。雑食。旅と原稿の合間合間の息抜き。『易経』、『『教行信証』を読む』(山折哲雄 岩波新書)、『四柱推命実践鑑定講座』(泰山流四柱推命学会)、『怪物はささやく』(パトリック・ネス あすなろ書房) 『頭の打ちどこ…

上越 居多が浜

記憶のメモ。 念仏弾圧のために、京から越後へと流罪になった親鸞が、敦賀よりの海路で越後に流されきた折に降り立ったという、上越の居多が浜。10月、夕刻。 陽は左手の山に沈んでゆく。 夏と秋の間を揺れさまような10月初旬の気候ではあったけれども、スス…

まことにしんぬ

日曜日にぶらりと上野へ。国立博物館に『法然 親鸞 ゆかりの名宝展』を観に。しかし、人、人、人の海、群生海、衆生海、無明海。 『教行信証』にいわく、「しかるに無始よりこのかた、一切群生海、無明海に流転し、諸有輪に枕迷し、衆苦輪に繋縛せられて、清…

おとな文庫

「おとな文庫」。これは、陸前高田市の高田保育所に開設される本のコーナーの名前。本が読みたくとも欲しくとも手に入らぬ被災地のおとなたちに本を贈ろうと有志12名が選んで私に送ってくれた本を、段ボール3つに詰めて、高田保育所に届けた。有志それぞれ…

朝からとびきりお楽しみ会@高田保育所

11月15日、陸前高田の高田保育所にて、朝9時半より、「朝からとびきりお楽しみ会」! 日本一の若手美人(!)浪曲師玉川奈々福と日本一明るい歌のおねえさんシーサー玉城が歌って、踊って、語りました。 まずはシーサー玉城が登場。会の進行係もシーサー玉…

譬如劫水

海の近くの高史明さん宅を訪ねた。親鸞の話を聞いた。帰宅して『浄土三部経』を開く。『教行信証』を繙く。『浄土三部経』のなかにある「海」のイメージが、『教行信証』のなかで膨らむさまを追う。『浄土三部経』と『教行信証』の間には、生身の親鸞が流罪…

つながる言葉、生きていく言葉

被災地に本を届けようと思った。本好きの仲間や友人知人にも声をかけた。子どもたちへの絵本や画材の支援は震災直後から動き出していたけれど、そうだ、子供たちを支え育む大人たちだって本が必要、言葉が必要じゃないかと、ふっと思ったのが始まりだった。…

うたのおくりもの

うーの屋敷妙子画伯が作ってくれた、陸前高田の高田保育所での「お楽しみ会」のポスター。 出演は、日本一明るい<歌のおねえさん> 沖縄生まれ沖縄育ちのシーサー玉城と、日本一の<若手美人浪曲師> 玉川奈々福。 熊本や横浜から映像での参加もあったり、…

イヤダカラ、イヤダ

『現代思想』10月号 特集「反原発の思想」を読む。 鎌田慧さんが書いている。「反原発運動は論理的には負けませんでした。原発に対する批判は正しかったし、今回の事故によってその正しさは証明されてしまった」。確かにそうだ。たとえば、子どもにもわか…

今日、私は出発する

11月末発行の新著 『今日、私は出発する』(解放出版)。 2009年より熊本日日新聞にシリーズ連載したハンセン病回復者との対話をもとにした原稿や雑誌『風の旅人』に寄せた原稿、熊本県合志市主催の講演の記録、作家高史明さんとの対談などが収められて…

横隔膜から出発する

「思考に向かう出発点として笑いにまさるものはない。ことに思考にチャンスを与えるには、ふつうの魂の振動よりも横隔膜の振動のほうが、はるかに具合がいい」(ヴァルター・ベンヤミン) 「星とともに走っている者として星の運行をながめよ。また元素がたが…

泣きながら体に刻んで行く

『春と修羅』第三集のなかの「あすこの田はねえ」より あすこの田はねえ あの種類では窒素があんまり多過ぎるから もうきっぱりと灌水を切つてね 三番除草はしないんだ ……一しんに畔を走って来て 青田のなかに汗拭くその子…… 燐酸がまだ残ってゐない? みん…

メモ 大津波記念碑

岩手県宮古市重茂半島姉吉地区 「高き住所は児孫の和楽/想へ惨禍の大津波/此処より下に家を建てるな」「明治二九年にも昭和八年にも/津波は此処まできて部落は全滅/生存者は僅かに前は二人後は四人のみ/幾歳経ても要心何従」岩手県大船渡市大船渡町富沢…

ジャケ買い

なんとなくぶらぶらと散歩に出かけた横浜・伊勢佐木町 有隣堂で、外国文学の棚を通りすがった瞬間に、『虫けらの群霊』というタイトルが目に飛び込み、棚から引っ張り出して、表紙を見て、即決。これは買い! 表紙画・挿画:スズキコージ。 内容は推して知る…

メモ 原発避難民

『季刊東北学 第28号』 「東日本大震災と阪神大震災の与えた課題」(森栗茂一)より。 「今回の震災で県外に避難した人は、五万人といわれるが、その七〇パーセントは福島県である。指定避難地域の内外から、中通り、会津、新潟に向った。中越は、中越地震の…

しみじみありがとう

チーム「うたのおくりもの」の面々が横浜に集まり、11月15日の陸前高田での「うたのおくりもの at 高田保育所 朝からとびきりお楽しみ会!」 の打ち合わせ。 いろいろなアイデアが飛び交って、既にかなり楽しい。保育所の子どもらやその保護者の方々や先生方…

福島⇔柏崎

今さらながら、図書館で原発関係の本をごっそり借りてきた。先週、柏崎刈羽原発の見学に行き、福島から柏崎に避難してきている方々の話も聞き、ちょっと簡単には言葉にはできないものが心のなかに渦巻いている。新潟県内で福島からの避難者が一番多いのは柏…

観光

「光」を「観る」。「光」とは何か。「それは日常の暮らしの風景とは異なった何か、それゆえに驚きにみちた、不思議に彩られた異文化」by赤坂憲雄 赤坂憲雄は「定住」に対して、「漂泊」とか「放浪」ではなく、「遊動」という言葉/概念を立てる。「遊動社会…

うたのおくりもの

友人知人が集まって、11月には岩手の陸前高田に、来年1月には新潟の柏崎に、「うたのおくりもの」ツアー。 きっかけは、友人が立ち上げた『色支援プロジェクト』。「世界に色を取り戻そう」をテーマに6月に陸前高田に初めて行って、高田の人々と言葉をかわ…

静かに送る日。

北九州の上野朱さんから、イサオちゃんの訃報が届いた。 元炭坑夫でカメラマンで、時に飄々と、時に涙を流しながら、ヤマの仲間たちを撮ったイサオちゃん。 足が少し不自由になっていたとは聞いていたけど、車の運転はしているというから、ああ、元気にして…

毒を抜く

昨夜は横浜でオキナワンナイト! 相鉄ムービル3階 サムズアップ。出演は、SHY、ジョニー宜野湾、寿。7時半スタート、11時近くまで歌う、歌う。久しぶりの沖縄の匂い。本日から、4日間の断食。最低限の栄養分の入った酵素を溶かし込んだ水だけを1日1.8リッ…

あたまの底のさびしい歌

かまくらブックフェスタで、以前から気になっていた本を一冊購入。『あたまの底のさびしい歌』(宮沢賢治 画:川原真由美 港の人)。賢治が友人・家族に宛てて書いた11通の手紙。それは私宛てに書かれたものでもあるよう。時に私が書いたものであるよう。 賢…

第14番 凶

今日は鎌倉・妙本寺境内の小さなギャラリーで、「かまくらブックフェスタ」。11月に、雑誌「風の旅人」で連載していた文章を単行本にまとめて、連載タイトルのままの書名で『犀の角問わず語り』を出してくださる「サウダージブックス」の浅野さん、「港の人…