2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

李良枝「石の聲」 メモ

この小説が未完なのは、惜しい。 初めて距離感を持って読める李良枝の小説。 愛着はここに至って、消えた。 主人公は、在日韓国人、留学生、ソウルのタルトンネで、自分自身への手向けの詩としての、未完の「ルサンチマンX氏」を書いている。 漠然とした言い…

李良枝「由熙」 メモ

――学校でも、町でも、みんなが話している韓国語が、私には催涙弾と同じように聞こえてならない。からくて、苦くて、昂っていて、聞いているだけで息苦しい。 우리나라 (母国)って書けない。(中略)私は書いたわ。誰に、とはっきりわからないけれど、誰か…

『わたしもじだいのいちぶです』 メモ

「彼女たちの日本語は、文字からではなく、耳に入ってくる音声で習得されたもの」 「教育を介さず生活の必要に駆られて学んだ言語」 彼女たちの日本語は、「国民国家の規範の外にある」「正しく」ない日本語。 「その<余白>は、変幻自在に<本文>を侵食し…

李良枝を読むことはつらい 

以下、気になるところの抜粋 備忘のため。 『刻』より。 「在日って因果ね。韓国なんて何だ、なんて思う時もあるくせに、気になってしかたないんだもの」 「そうね」 私は素直に頷いた。言葉に初めて、チュンジャの身体、チュンジャの体臭を感じていた。彼女…

山尾三省『野の道』と宮沢賢治をめぐる会のあとに。

5月12日 野生会議99 つながるゼミナール 「山伏の目で読んで語る宮沢賢治」@西荻窪・忘日舎のゲストに来てくださった編集者アサノタカオさんとのfacebook上でのやりとりが、とても大切なことに思われて、このブログの方にそれを記録しておく。 <アサノさん…

「なもあみだんぶーさんせうだゆう外伝」

2019年5月11日 東京自由大学 「異界の声。常世の歌」第二回 「流浪のうたびと、 ~アフリカの吟遊詩人、さまよい安寿」 <話の前置き> 説経節「山椒太夫」より、弟厨子王の行方の自白を迫られた安寿の拷問死の場面 十二格(十二段)の登梯(はしご)にから…

野の道/ 宮沢賢治は、法華経を唱えつつ死への道を歩いている。 メモ

野の人としての、法華経信奉者としての賢治。 死を意識したときに、ようやくたどりつく「常不軽菩薩品」の境地 あるひは瓦石さてはまた 刀杖もって追れども 見よその四衆に具はれる 仏性なべて拝をなす 菩薩四つの衆を礼すれば 衆はいかりて罵るや この無智…