2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

猫三匹

言葉というのは不自由なものであると思う。この世に五体満足の言葉なんてあるのだろうか。なくした指の夢を見るように、見えない指がうずく、そんな疼きや痛みを言葉は語りうるのだろうか。 今日、書きとめた言葉。 「苦しまないと人生にすまない」(by南承…

死者とともに死ぬ生者

ブックギャラリー・ポポタムで、チェチェンイベント。2001年2月にロシア軍によって数多くの非武装の民間人が虐殺されたアルディ(グロズズイの南の端のほうの村)の、当時の凄惨な映像とそれを2009年に証言した村の人々の映像によって構成されたド…

もっと深く、痛く

東京・丸善4階のカフェでサウダージ・ブックスの浅野さんと会う。2003年から雑誌『風の旅人』に書きついできた記憶の旅の物語をいかに一冊の本にするかを話し合う。3・11で何かが根本的に変わり、「記憶をつなぐ旅」から「空白をつなぐ旅」へと確かに移り…

メモ  棄民は楽園を目指す

中学の入学式の日からの友人で画家の屋敷妙子が京橋のギャラリー椿で個展を開催中。(4月13日〜27日)。http://www.gallery-tsubaki.jp/2011/0413/0413.htm 『イリオモテ』(岩波書店)の表紙画を描いてくれたのは、彼女。ややヘンタイ(褒め言葉)。 以下、…

諦めてないか?

風邪。微熱。テッサ・モーリス-スズキ『北朝鮮へのエクソダス』(朝日新聞社)を読む。大いに教えられる。すごいな、テッサさんは。敬服。 ポスト3・11をいかに生き延びるかを、出版関係の友二人と語り合う。 生きていくためにいろいろなものをつかみ取った…

ターッ、ターッ、ターッ。

本読む一日。小島信夫『小説の楽しみ』(水声社)再読。柳田邦男『雨の降る日は考える日にしよう』、金石範『火山島1』読了。三書三様のようであって、どれもが言語化されえないものと向かい合う想像力をその芯に置くものであるという点で通じ合う。「だか…

『女と孤児と虎』

知人から送られてきた、実に興味をそそられる映画上映会のご案内 …………………………◆『女と孤児と虎』上映会&トーク◆〜カイスン監督、クラウスナー共同制作者をむかえて〜1950年代から今日まで、海外養子として韓国から欧米へと渡った子どもたちは、約20万人にのぼ…

メモ:伝道者の書(コヘレトの言葉)

エルサレムでの王、ダビデの子、伝道者のことば。空の空。伝道者は言う。空の空。すべては空。 日の下で、どんなに労苦しても、それが人に何の益になろう。 一つの時代は去り、次の時代が来る。しかし地はいつまでも変わらない。 日は上り、日は沈み、またも…

フスターヴァチ(起床)!

プリーモ・レーヴィ『休戦』(岩波文庫)。冒頭、「雪解け」の章において、初めてロシア軍がプリーモ・レーヴィが収容されていたブナ=モノヴィッツのラーゲルに姿を現した時、その最初の4人の若い騎馬兵がラーゲルの惨状を目の当たりにした時のことを、レ…

叱咤は痛い

金石範『死者は地上に』を読む。80歳を越してなお瑞々しく、かつ懐の深い想像力、骨太で自在の筆。叱咤される思い。「トゥタン、タンタン。深い深い地の底の樹々の茂る森、大きな榎木の蔭の湖のほとり。話ができません、ことばは躯から離れない。やつらにさ…

戒め

自分の痛みには敏感であっても、 他者の痛みには鈍感極まりない、 感受性が自分の経験値の内でしか動くことがなく、 外への想像力を持ち合わせていないことを知ることもない、 そうして、自分に安心安住して充足してしまわぬよう…、 傍らの他者を傷つけぬよ…

メモ

なくても ある町 そのままのままで なくなっている町。電車はなるたけ遠くを走り火葬場だけは すぐそこに しつらえてある町。 みんな知っていて 地図にはなく 地図にないから 日本でないから 消えてもよく どうでもいいからか 気ままなものよ…… 金時鐘『猪飼…