3か月近く寝ても覚めても取り組んできた石垣島の老師の本の校閲作業がようやく終わりました。 『八重山の1945年』(大田静男 みすず書房)2025年7月16日予定 この本で語られているのは―――、 明治以前、琉球王国の支配下にあった八重山群島が、琉球併合後にい…
ここ数日の読書。 どれも、諦めることなく、息の長い「革命」を問いかける書物。 ここで言う「革命」というのは、フランス革命みたいのとは違いますよ。 「ひとりきりであることに不安を持つのをやめた者たち」が、権力の軛を断ち切って、自分をなくすことで…
この本は2003年刊行。アルンダティ・ロイはインドの作家、批評家。 これは、2001年9月11日のいわゆる「アメリカ同時多発テロ事件」以降の、「我々の側につくか、それともテロリストの味方をするか」(byジョージ・ブッシュ)というクソ単純大バカ野郎発言に…
鬼畜の言葉(と言いつつ、ネタニヤフを鬼畜と呼ぶのは、鬼にも畜生類にも失礼なことだと思う) Netanyahu fully drops the mask:"We are demolishing more and more houses, they have nowhere to return to ... The only logical outcome would be the desi…
youtu.be ホロコーストのあとに、アドルノは、 「アウシュヴィッツのあとで詩を書くことは野蛮である」と言ったけれど、 要するに、野蛮なのは、いわゆる西洋の普遍の思想というやつでしょう。 ヨーロッパは死んだ、この死はあらかじめ西洋近代に内包されて…
『パレスチナの民族浄化 イスラエル建国の暴力』(イラン・パぺ著 田浪亜央江・早尾貴紀訳 法政大学出版局)を読んでいる。 怒りながら読んでいる。 イスラエル建国前夜、1947年11月29日に国連でパレスチナ分割(ユダヤ人支配地域とパレスチナ人支配地域)が…
「尹東柱 ディアスポラの抒情」 この世のどこでもない場所で、途方に暮れている青年がひとり。 また別の「故郷」は、いったいどこに? <0> はじめに――尹東柱と出会い直す 尹東柱の詩についてはかねてから知ってはいました。折に触れ読んでもきました。「序…
シオニズムと帝国主義(あるいは、植民地主義、人種主義)の関係。 栗田禎子論文〈「いい土地ですから進めてください」とバルフォアはロスチャイルドに言った〉から。 ·······························◆「シオニズムが現実の運動として最初に動き出す1880年…
「詩人」とは「深い苦悩を心に秘め、ため息や悲鳴が溢れ出るとき、その唇が美しい音楽のように響く不幸な人間である」(『あれか、これか』より) 『あれか、これか』で描出される「詩人的実存」とは、第一に「絶望が貫徹されていない」ために、未だ「精神が…
GAZAからパレスチナ人をすべて強制移住させ、アメリカが所有し、リゾート地にする、などというアメリカ大統領トランプのとんでもない発言。 先住民虐殺なくしては、 奴隷制なくしては、 植民地なくしては、 戦争なくしては、 他者の命を踏みにじることなしに…
『詩人白石』(アン・ドヒョン著 五十嵐真希訳 新泉社) ◆白石の詩に影響を受けた詩人たち P196~ 尹東柱は白石の詩集を買えずに地団駄踏んだ。彼は白石より五歳若くて、平壌の崇実中学校に通っていたが、一九三六年にこの学校が神社参拝を拒否したことで廃…
沖縄・読谷で、金城実さんに会ってきた。 アトリエは「親鸞塾」でもあるのだと、金城さんは言う。 ペットボトルを胴体にして、漆喰とセメントで作られた仏像が並ぶ庭は、「隠れ念佛」の洞窟をイメージして造形されているという。 真宗が禁教とされていた薩摩…
<森崎和江の問い ①> 私たち日本民衆にとって、朝鮮問題とは何なのか。それを思想として問う意味はどこにあるのか。 ◆ 民族的接近は、底辺の民衆ほど直接的である。 (つまり、互いを知る前に、双方ともに使い捨て労働力として底辺に閉ざされた。港湾労働、…
沖縄本島に隣接する与論島の祖神様は本土の村祭とは様相を異にしている。島でシュニグ祭と称されているのだが、この祭神について明治十六年生れの郷土史家増尾国恵氏がのべられる左に点はまことに興味深い。神格に対する農耕者の主体がまだ生き生きと残って…
三井三池の争議で与論島からの移住労働者に出会ったことで、森崎和江の眼差しは、さらに沖縄へと伸びてゆく。 <沖縄を考える際の森崎和江の前提 日本と沖縄の非対称な関係> 「沖縄と日本の支配権力との関係は、その統一国家をめざした時から常に一方的な関…
福島巡礼は、楢葉の伝言館(宝鏡寺内)から始まった。 2024年10月18日。雨が降っている。 伝言館を寺の境内に作った宝鏡寺のご住職の遺志を継いだ丹治さんが、 遠来の訪問者に福島の伝言を怒涛のように語る。 「エネルギー アレルギー」 このポスターは震災…
連想と妄想は音が重なり合う瞬間にホップステップジャンプでワープして、気がつけば、死者を乗せて走る銀河鉄道はこの世のすべての理不尽な死者の森を貫いて走り、理不尽な死者はあまりに多いから、世界は森で埋め尽くされている、満洲の丸太のような、死者…
9月22日 北国新聞 朝刊 ◆9月22日 のと千里浜 道の駅 この日は本当は、<こぎつねも森>チームの芸能担当班として、珠洲市若山の正福寺に行く予定だった。 それはもう何カ月も前から現地とやり取りをして、救援物資を揃え、芸能の時間の仕込みもしっかりとや…
【百年大芸能祭 前口上】 お集まりのみなみなさま 百年大芸能祭にようこそ! 人間も、人間以外のあらゆる命も、ようこそ、ようこそ! さてさて、ほんの百年とちょっと前から、 お金になるかどうか、役に立つかどうかで、命の価値が決められて、 見えない鎖に…
集中豪雨直後の道を行く。 道の駅 桜峠 道を挟んで向こう側の崩落して剝き出しになった山肌 珠洲市内はふたたび断水との情報。 ここが最後のトイレポイントか…… 集中豪雨で店内浸水。川は近くにない。 この店の背後の山から水が流れ落ちてきた。 賞味期限が…
語られるべき物語は現世と幽冥のあわい、現と夢のあわいからやってくる、 それを語りだす密かな声は、琵琶の弦の響きのごとく 空気を震わせ、まつろわぬ魂をふるわせる。 (鞠姫の)その独特の声のその独特の作用は、そもそも何に起因するのか。 由美丸は奏…
写真は、『現代史資料 関東大震災と朝鮮人』(みすず書房)より抜き出したもの。 これは、「鮮人を殺傷したる事案」として加害者が起訴された際、被害者として記録された朝鮮人の名前。それも、ほんの23名。 公的記録(1923年11月15日時点)に記録されている…
日本の敗戦の日に読むのは、堀田善衛『方丈記私記』。1945年3月18日、東京大空襲直後の深川の様子を見に行った堀田善衛は、天皇の被災地視察に行き合い、後にも先にもないおどろきに襲われる。それを堀田善衛はこう書いている。「あたりで焼け跡をほっくりか…
ことのはじまりは、クラリネット吹きのワタルさんが、近鉄奈良駅前の噴水の真ん中に立つ行基さんに囁きかけられたことなのです、たぶんね。 そもそもは、「ワタルさんが奈良にやってくるから、みんなでお茶でもしよう」、で始まった話だったんです。 ところ…
二十世紀を駆けぬけて 敗戦後も間もない日、焼けなかった京都から故郷へ立ち戻った私は、広島の町を一望に見おろす比治山に登って、国見におよんだ。 焼き尽くされて灰燼と化し、七つの河だけが陰刻となった町の後は荒涼として奇妙に静謐、鬼気迫る惨景であ…
この前口上、 ブルーズブラザーズのアレを意識して書かれたものです。 これをやるときには、バックにクレズマーのあの曲が流れています。 演奏は百年DXバンド 鎮魂ちんどん隊。 【前口上】 お集まりのみなみなさま 百年芸能祭にようこそ! 人間も 人間以外の…
ピースマーチには参加できなかったのだけど、 メッセージを実行委員の方が代読してくださった。 ------------------------------------------------------- <さあ、出発です> いま、パレスチナでは、一般市民の大量虐殺、ジェノサイドが日々繰り広げられて…
みなさん こんにちは。 今日は百年芸能祭実行委員会を代表して、この場に来ました。 まず、少しだけ、百年芸能祭について説明します。 百年芸能祭とは、関東大震災から百年となる昨年、2023年に立ちあげられたもので、目指しているのは、これまでの百年間、…
幕開けを告げる百年ちんどん隊 法螺貝の響きとと共に、吹田メイシアター小ホールにアコーディオンに鉦太鼓を鳴らして「オギヨディオラ」の調べを奏でて入場、 そして練り歩き! 開祭の辞を読み上げる! <イ・サンウン ライブ 前口上> お集まりのみなさま …
未来とはメタモルフォーゼの純然たる力である。(中略)将来というのは、生とその力がいたるところにあり、個体としても個体群としても種としても、わたしたちのうちのいずれにも属しえないということである。将来とは、変態することを個体や生物群に強いる…