森崎和江さん追悼  ~他者を孕み孕まれ生きてゆく~ (熊本日日新聞掲載)

初めて森崎さんと出会ったのは2000年代の初め、私が旧ソ連に生きる高麗人を訪ねて中央アジアへと向かった頃のことです。高麗人とは、朝鮮半島からロシア極東へと流れゆき、さらにスターリンによって中央アジアへと追放された人々。植民地と戦争と無数の死で…

『闘いとエロス』 メモ

わたしの感覚の創造主である朝鮮の群衆と山河がほうふつと浮かぶ。わたしの心が激しく首をふる。あれをほろぼしてはならぬ、という。あれをにほんで使え、という。 どこで使うね…… 朝鮮は岩なのだ。 室井腎(谷川雁)とその地元から来た青年たちの水俣方言の…

森崎和江 自意識 メモ

即自的な私はコスモポリティクな流亡の徒であって、定着する日本の共同体意識のどのランクにも入りこめない。強いていえば遊芸売笑の賤しさで民衆のエキスを伝播して歩く遊行女婦(うかれめ)グループの心情を伝承している。 大海にほうりすてられ、青天にあ…

森崎和江「わたしと言葉」 「祖母たちのくすり」メモ

女の人は、というか、わたし自身が女ですから、女の意識とか感性とかの中には、書き言葉によって自分を認識するということよりも、話し言葉によって自分や世の中を感じ取ったあとが残っています。またひとりひとりの女は、わたしが自分のからだの変化を想像…

森崎和江。言葉。メモ。

私は政治的に朝鮮を侵略したのではなく、より深く侵していた。朝鮮人に愛情を持ち、その歴史の跡をたのしみ、その心情にもたれかかりつつ、幼い詩を書いて来たのである。 自然界といのちとのシンフォニーへの愛をはぐくんでくれたのが「日帝時代」の大地であ…

メモ  物語をめぐって。

私たちが書かない物語の運命が どうなってしまうのか、 あなた、分かっていて? それは敵のものになってしまうのよ。 (イブラーヒム・ナスラッラー『アーミナの縁結び』より)

信徳丸(俊徳丸)  瞽女唄 説経祭文 江州音頭  メモ

説経祭文「信徳丸一代記」の写本(これを「長野本」とする)とされているものが、『日本庶民生活史料集成』17巻に収められている。 ◆この写本には、「長野市新田町九拾弐番地内三番」「明治廿一年三月廿八日 新田村藤田三義用」「たかだよこまち」「このしま…

姫路 牛頭天王総本宮 広峰神社 → 神戸 祇園社

入口の大鳥居 気になるのは、この看板。いきなり「国家の安泰…」ですか。牛頭天王総本宮が……。入口から、骨抜き牛頭天王の気配が漂う。 入口の看板 九星術のことも書かれている。かつてここにいたのであろう陰陽師の存在が垣間見える。 さあ、石段を登って境…

伊勢 間の山 参宮街道資料館 伊勢神宮宇治橋 旧牛頭天王社

■参宮街道資料館 〇抜け参りをする者は、お金がなくとも、柄杓を持っていれば、食事や宿などを無料で提供する施行を受けることができた。 ■ 五十鈴川の中には蒔き銭をざるで受ける者たち。 銭を蒔けば蒔けほど、蒔いた者の穢れが落ちる。 内宮鳥居 ■伊勢河崎…

伊勢本街道をゆく 奈良~伊勢  その1 メモ

まずは記録として写真のみ 出発 奈良 午前6時

2月は、大阪で、東北に想いをはせて【被災物 「モノ」語り】月間!!

「それを見たひとがその経験を「想像する」ことによって完結する。(中略) たったひとりが「想像したこと」が、リアス・アーク美術館の「最終形態」になる。」 (『東北の風景をきく FIELD RECORDING vol.4 特集:出来事を重ねる』 「白地の持つ豊かさに気…

<被災物「モノ」語り ワークショップ>のご案内

<被災物「モノ」語り ワークショップ>のご案内 コロナ禍のため、延期。 東京・西荻窪 忘日舎にて。 2022年1月22日(土) 午後2時~ 案内人 姜信子 オンライン参加:山内明美(吉里吉里語を話してくれるはず) 音曲参加:渡部八太夫 -----------------------…

シンボルスカ 詩 「舞踏会」  土着のこだまの他には 音節で語ることのできるこだまがない以上……

舞踏会 シンボルスカ 訳:沼野充善 まだ何も確かなことが分からない以上(届いてくるべき合図もまだないのだから) まだ地球が今のところ近くや遠くの惑星とは違ったものである以上 地球とは別の 風に名誉を与えられた草も栄光を授かった木々も地球の動物の…

2021年師走  西成・ココルームでもう一個 詩を書く

お題は「箱」です。 まず、そのお題をいただいてから、絵を描きます。2分で。 二人一組になって、相手の描いた絵を見ながら、インタビューします。6分で。 私もインタビューされます。6分。 そして、互いに、相手から聞き取った物語を、詩にします。タイトル…

「女」であること  恨百五十年  ~2021年師走に~

今日、2021年12月11日は、大阪・西成 ココルームで、煤払い 詩の朗読会 ライターの社納葉子さん、ココルームの上田 假奈代さんと三人で、釜ヶ崎芸術大学の皆さんに囲まれて、年末に人生の煤払いをしようということで、あれこれ語り合いました。 そのなかで読…

今日、釜ヶ崎、ひと花センターで。

ココルームを主宰する詩人 上田假奈代さんの詩のワークショップに参加。 cocoroom.org 二人一組、 お題は「みかん」で、 最初に「みかん」という言葉に思い浮んだ絵を2分くらいで下手くそに描いて(これ大事)、 その絵を手掛かりに互いに5分くらい、みかん…

江戸期、「語り物」と出版はメディアミックスビジネスだったということ。(メモ)

『初期出版界と古浄瑠璃』(柏崎順子)という論文を読んでいる。 まず基礎知識。 ◆古浄瑠璃の展開について。 ①語り物の時代 街道筋で浄瑠璃が語られていた時期 ②慶長・元和期 操り浄瑠璃成立の時期 ③寛永期(正保・慶安) 正本の刊行が開始される時期 ④承応…

今日、目にした言葉。メモ。

狂気は野生の状態では見出されません。狂気は社会の中でしか存在しない。狂気はそれを孤立化する感受性の諸形態、それを排除し或いは捕捉する嫌悪の諸形態の外に存在するものではないのです。-狂気は社会の中でしか存在しない- byフーコー

御所市 水平社博物館へ。 とびとびスケッチ。備忘録

御所市 水平社博物館へ 水平社正面に西光寺 [神武天皇社] [あの小高い丘が用明天皇陵] [水平社博物館] [巡回展 先住民族アイヌは、いま]

バートルビー

当然のことながら、小説はやはり読まなくちゃいけない。 当たり前のことだが、あらすじを知っていたとしても、そんなことには何の意味もない。wikiなんか見て知った気にならないほうがいい。(自戒を込めて) しかも「バートルビー」、 あまりに語られすぎて…

『田村三代記』散歩/思わぬ津波の記憶 2021年9月20日 於)宮城郡利府町

『田村三代記』のうち、「第二段 悪玉御前の記」より、八幡神社流鏑馬の場面にまつわる話。 醜い水仕女 悪玉(実は盗賊の襲われ、奥州に売られてきた姫君)と田村二代将軍との間に生まれた子は、勢熊(千熊という表記もある)と名付けられ、悪玉の仕える九門…

説経祭文「信徳丸」の春日大明神の謎が解けた。

今日は、ピヨピヨ団とともに、大阪は八尾の恩智、茶吉庵を訪ねた。 HPには、「ほんまもん」のアートが集まる 築250年の古民家、とある。https://chakichian.co.jp/ 19代目当主の萩原さんから恩智という土地の歴史(話は物部氏の頃からの反骨の物語としてはじ…

ジェイムズ・クリフォード『リターンズ 二十一世紀に先住民になること』 メモ

締切前だというのに、うっかりこの本の第二部「イシの物語」を読みはじめて、やめられなくなってしまった。 「最後のヤヒ イシ」をめぐる物語だ。 そもそも、イシとは、1911年8月29日に北カリフォルニアの小さな町オロヴィㇽで保護された先住民「ヤヒ」の最…

復習  植民地期韓国の童謡運動 概略

童謡「半月」に寄せて。 作詞・作曲 尹克栄 푸른 하늘 은하수 하얀 쪽배에계수나무 한 나무 토끼 한 마리돛대도 아니 달고 삿대도 없이가기도 잘도 간다 서쪽 나라로 은하수를 건너서 구름 나라로구름 나라 지나선 어디로 가나멀리서 반짝반짝 비치이는 건샛…

安藤昌益の「猫」あるいは「炉」

最近、毎月勉強会に参加して、少しずつ読んでいる安藤昌益。 江戸のアナキスト。 ただし、ここに抜き出すのは、興味関心に沿った非常に偏った抜粋。 安藤昌益全集 第1巻 稿本自然真営道第二十五より 「炉ヲ以テ転下一般ノ備ハリヲ知ル論」 転下万国ノ人家、…

備忘録 田村語りにまつわること  その2

奥の細道 末の松山・塩釜 それより野田の玉川・沖の石を尋)ぬに末の松山は寺を造りて末松山(まっしょうざん)といふ。 松のあひあひ皆墓原(はかはら)にて、はねをかはし枝をつらぬる契りの末も、終にはかくのごときと、悲しさも増りて、塩がまの浦に入相のか…

備忘録その1  「田村語り」にまつわること

以下のメモは、『東北の田村語り』(阿部幹男 三弥井書店)による [坂上田村麻呂の説話化の道]811(弘仁2) 「毘沙門の化身、来りてわが国を護ると云々」(『公卿補任) その1 清水寺がらみ 平安末 『今昔物語集』巻11 清水寺草創縁起 大和国子島寺の延…

簾内敬司を読む。

森崎和江つながりで、あらためて簾内敬司をじっくりと読んで、茫然としている。 この人の、深々と東北の風土に根差した、この恐るべき声を、どうして今まで聞き取ることができなかったのだろうかと、自分の小さな耳にがっくりとする。 小説『千年の夜』に寄…

國分功一郎『中動態の世界』  メモ

なぜ「中動態」の本を読むのかと言えば、 「私」という「一人称」を森崎和江の問いがずっと、私の胸の奥深いところに刺さっているから。 妊娠出産をとおして思想的辺境を生きました。何よりもまず、一人称の不完全さと独善に苦しみました。(中略) ことばと…

ベンヤミン「新しい天使」    メモ

――これから進む道のための書き抜き―― 瓦礫 「新しい天使」と題されたクレーの絵がある。そこには一人の天使が描かれていて、その姿は、じっと見つめている何かから今にも遠ざかろうとしているかのようだ。その眼はかっと開き、口は開いていて、翼は広げられ…