森作和江 北への旅 その3 メモ

ひきつづき『原生林に風がふく』 数多くの森崎和江の文章で、くりかえし記される森崎和江の旅のはじまりにまつわる述懐。 朝鮮体験の重さと弟の自死は、私を賢治以前の魂の日本へと、突き放ちました。 私には、言葉以前の、伝承力を感じさせるしぐさについて…

森作和江 北への旅 その2 メモ

『原生林に風が吹く』簾内敬司×森崎和江 ◆旅のはじまり 道案内人は簾内敬司 木に会いたい、その旅へと急ぐ、森崎和江がいる。 「なぜ、東北は、山を恋うのだろう」 私が今会いたい木は、それら私や私の親世代たちが踏みわたった近代の影などにおびえることな…

森崎和江  北への旅  メモ

『対話 魂ッコの旅 森崎和江 野添憲治』より ◆北へと向かう心 どうして北に行きたいということになるのかなというとね、私、「辺境」という言葉が嫌いなんです。だってどの地方にも固有の生活史はあるんですもの。それぞれの地域にくらしの遺産は深く残って…

『六ケ所村の記録(下)』 メモ

(六ケ所村を原子力センターにするのは)通産省の外郭団体の調査報告書(1969年)に明記されている既定方針だった。 核燃サイクルは、開発が頓挫した広大な空き地があるからと、1984年に始まったのではない。青森県が、広大な空き地へと誘致したのでもない。…

野添憲治『開拓農民の記録 日本農業史の光と影』(現代教養文庫) メモ

光と影 と副題にはあるけれど、開拓農民の記録を読めば、そこにあるのは、ほとんど闇の一語に尽きるではないかとすら思われる。 国策で満蒙開拓に送り出され、敗戦後に帰ってくれば、やはり国策で、どうしようもない荒地や、山奥を開拓地としてあてがわれ、…

六ケ所村をめぐる言葉  メモ  足尾鉱毒ー朝鮮窒素ー六ケ所を結ぶ

1969年8月 植村経団連会長 (開発予定地は)豊富な水資源と広大な土地に恵まれており、しかも公害の心配がないうえ、地価が安いのが魅力だ。 1971年 むつ小川原開発株式会社(三沢の地上げ会社) 伏見社長 開発がなければ、百姓はみじめだったよ。いまは昔の…

久しぶりに シンボルスカを読む

「なんという幸せ」 沼野充義・訳 なんという幸せ 自分がどんな世界に生きているか はっきり知らないでいられるのは 人はとても長く 生きなければならないだろう 世界そのものよりも 断固としてずっと長く せめて比較のためにでも 他の世界を知らなくては 人…

2023年7月21日~24日  未来の戦跡地めぐり 青森・下北半島編  その3 六ケ所村

7月24日 あさこハウスで会ったおじさんが、「俺は六ケ所のことなら詳しいぞ、なんでも聞け」と言う。 「六ケ所のどこにまず行ったらいい?」 そう聞いたら「泉田稲荷神社に行け」と言う。 「六ケ所にも用地買収に応じなかった家があるんだ。新納屋の泉田稲荷…

2023年7月21日~24日  未来の戦跡地めぐり 青森・下北半島編  その2 大間

7月22日 午前9時 新郷村から大間に車で向かう平葭さんが、 下北を通るときに私をピックアップしてくれることに。「せっかくだから、ヒバの林の道のほうを通って行きましょうね。 恐山もかすめて行きましょうかね」 ということで、恐山をかすめて、薬研温泉の…

2023年7月21日~24日  未来の戦跡地めぐり 青森・下北半島編  その1大間へ

2023年9月22日、23日に大間で開催される大MAGROCKに参加しようと、 その1週間ほど前に慌てて行程を組んだ。 大MAGROCKが、百年芸能祭に参加したいと言っていると、北からの風が教えてくれたから。 これは行かねばなるまいと、本州最北端めざして旅に出た。 …

2023年6月24日 石垣島 未来の戦跡地めぐり

奥に見えるのは、沖縄で最も高い山であり、石垣島の聖なる山でもある 於茂登岳。 その前の小さな山なみを挟んで、手前に見える薄い緑の敷地に立つ建物群が、 「自衛隊駐屯地」 バンナの南の島展望台から、駐屯地をあらためて見る。 前方、やや左手の山のふも…

2023年6月23日 午前8時 石垣島 バンナ公園 南側広場 八重山戦争マラリア犠牲者碑前にて

八重山戦争マラリヤ犠牲者 慰霊之碑 この碑の前で、6月23日には、例年 山里節子さんをはじめとする「いのちと暮らしを守るオバーたちの会」が祈り、歌う会が催されてきた。 そこに「百年芸能祭」も合流。 山里節子さんの進行による『祈り」 1分間の黙祷のの…

真木悠介『気流の鳴る音』 メモ

カスタネダが語るドン・ファンの教えの本は学生時代に読んだ。 覚えているのは「自分の場所を見つける」ことくらいだった。 今回は真木悠介をとおしてドン・ファンの教えに出会い直す。 ①大事なのは「世界を止める」こと。 「わしらは自分のなかのおしゃべり…

李起昇 「日本は韓国だったのか 韓国は日本だったのか」 メモ

この本はちょっと読むのがしんどい。 結論ありきで、信念と情熱で書かれたものだからだと思う。 この結論の論証するために集めてきた歴史パズルの無数のピースを眺めていると、 その結論よりも、ここまで筆者を駆り立てたものに思いを馳せて、ため息が出る。…

李起昇 作品抜き書きとメモ その2「鬼神たちの祝祭」2019

この人は、なんというか、言語原理主義のように感じる。 すべてを言語から説明をつけようとする。 日韓の違いとか、差別の構造とか。 明晰さより、息苦しさが先に立つ。 日本と韓国とのはざまで、日本と韓国に囚われて生きること、そう生きざるをえないこと…

李起昇 作品 抜き書き その1 ゼロはん

① p57~58 逃げる。 思えば生まれた時から逃げ回っているような気がしてならなかった。チョウセンと言われないために、変な目で見られないために、酒ぐせの悪い親父から、貧乏から、汚ない家から、朝鮮部落から、土方から、キムチから、チマチョゴリから、朝…

『深淵の沈黙』ファム・コン・ティエン  の言葉

◆ニコス・カザンザキス『苦行』より。 黙って、堂々と、そして希望を持たずに深淵へと旅立つこと、それがおまえのなすべきことだ。

百年の孤独  言葉集

世界を広くめぐり歩いてきた男たちの話では、メルキアデスの一族は人知の限界をはるかに超えたために、この地上から抹殺されたということだった。 p44 (メルキアデスは)実際に死の世界にいたが、孤独に耐えきれずにこの世に舞い戻ったのだ。生への執着にた…

金石範 メモ2

友からの手紙(1948年4月16日)の一節。 八月十五日、あの日! われらの歓喜と感激はどのようなものだったか? あのような歴史的、いわゆる解放は、不幸にもとんでもないところへと逆行し、民生は有史以来の惨憺たる苦境に陥り、民族は最大の危機に苦…

言葉   対話集 原田正純の遺言』より

「ぼくの経験では、歴史を動かすのは多数派じゃないんです。ほんとうに志のある何人かですね」

金石範  メモ

「支配者たちは過去は永遠に消滅したものと考え、またそのようにしてきた。彼らは過去を氷詰めにして永遠に地中に埋もれたものと考えてきた……」byショスタコーヴィチ (金石範『満月の下の赤い海』より) このショスタコーヴィチの言葉を引いて、さらに金石…

『死者は生者のなかに』 書評 熊本日日新聞

抜き書き その3 (作業中)

第7章 みんなは天使に変身ね 「ユダヤ人問題に関しては、それが「美談」であれ「醜聞」であれ、国民的な記憶からことごとく排除してしまおうとする傾向が戦後のポーランドでは強」い。 ドイツ軍占領下のポーランド社会に蔓延していた「密告熱」は、後のポー…

抜き書き その2

第3章 十人の敵でも与えられないほどの害 サバイバーの性差による経験の質の問題。 ナチズムとポルノグラフィ産業の共犯性 ――ヒトラーの「反ユダヤ主義」が誇大に宣伝した「ユダヤ人の性欲」 ――イスラエルにおいてさえ「ポルノグラフィ」が一個の産業と化し…

抜き書き その1

序 <詩の始まり> 詩人ジェローム・ロゼンバーグ 私がトレブリンカにおいてはじめて耳に聞こえてきた詩のいくつかは私がなんのために詩を書くのかという問いに対するもっとも明快なメッセージだった。アウシュヴィッツ後に詩を書くことが可能か可能でないか…

2022年12月19日 那覇 ちはや書房で出会った本 ラングストン・ヒューズ詩集

この2冊は、60年ほども前に、琉球大学国文科の学生で、文芸部に所属していた中里友豪さんの蔵書だったらしい。 中里さんは昨年4月17日に亡くなっている。 https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1307449.html 山之口貘賞受賞詩人で、演劇集団「創造」の結成に…

百年の夜の歌 (2022年11月13日 百年芸能祭 絶賛参加 「百年かもめデラックス@凱風館」バージョン。オープニングアクト) 

百年の夜の歌 (サックス:仲野麻紀 ソリ:安聖民 朗読:姜信子) 「 横浜から歩いてきました 疲れきつたからだです そんなに おどろかさないでください 朝鮮人になつちまいたい 気がします (折口信夫「砂けぶりⅡ」より) 그토록 놀래지 마세요 (そんなに…

2022年11月13日 百年かもめデラックスツアー! @神戸・凱風館 ご報告

これは、私が関わっている「百年芸能祭」に、絶賛参加した「百年かもめデラックスツアー」のご報告。 演者は、玉川奈々福(浪曲)、安聖民(パンソリ)、仲野麻紀(サックス奏者)の予定だったのですが、玉川奈々福がコロナのため休演となり、浪曲師&曲師の…

シンポジウム <グローバルな物語としての「パチンコ」-「在日」の表象と植民地主義の記憶>参加にあたってのメモ

「複雑さを増す社会が織りなす重層的な記憶を、自己完結的な一国民の運命という物語叙述にまとめあげようとする作業は、もはや困難である。」テッサ・モリス・スズキ ① まず最初に、「パチンコ」に対する感想、もしくは違和感。 ◆「在日」が自分の生きている…

『女と刀』抜き書き

【序章】 わたしは、血はひとつというそのながれを切ることで、その体制(まとまり)とながれからは傍系(わき)を生きようとも、また楽隠居という座を永遠に失ふ業ふかき女と言われようとも、こうすることでわたしはわたしの世というものを生きてみたかった…