2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

黄晳暎 発言  メモ  

2008年「第一回東アジア文学フォーラム」発表原稿より。 民主主義、人権、自由、平等などは今やあまりにもよく口にのぼる。色あせた旗のように見えるが、今日的意義を失ったわけではない。お互いの状況はそれぞれ異なるが、作家である私たちは、まず国家主義…

黄晳暎『パリデギ 脱北少女の物語』(岩波書店) メモ  

この作品は、ムーダンたちの語る「パリ公主」神話を下敷きにしている。 北朝鮮に生まれ、生き難い状況に追い込まれ、家族と生き別れ、豆満江を越え、中国へと脱出し、運命のいたずらのようにして英国へと密航する。 北朝鮮脱出後、ついにはすべての家族を亡…

珍島アリラン  (資料)

진도아리랑(Jindo Arirang) 아리 아리랑 스리 스리랑 아라리가 났네~~ 아리랑 응응응~ 아라리가 났네 문경새재는 웬 고갠가 구부야 구부구부가 눈물이로구나 아리 아리랑 스리 스리랑 아라리가 났네~~ 아리랑 응응응~ 아라리가 났네 노다 가세 노다를 가세 …

黄晳暎『客人(ソン二ム)』(岩波書店) メモ  済州島4・3と、朝鮮戦争の渦中の北朝鮮・信川の虐殺をひそかな線。

物語の舞台は、現在の北朝鮮 黄海道信川郡 信川邑 そして隣り合う郡として、また一帯の地域として載寧郡も登場する。 黄海道のこの辺りは、平安道と合わせて「西北地方」と呼ばれていた。 ふと思い出したのは、金素月「南勿里原(ナムリボル)の唄」(1927)…

黄晳暎『客地』(岩波書店) メモ02  「森浦へ行く道」

永達は、どこへ行こうか、と考えながらちょっと立ち止まった。 これが冒頭の一文。 流れ者永達は、ワケあって次の工事場を探して旅に出たところ。 旅の道連れになった鄭は故郷の「森浦」へと帰るところ。十数年ぶりの故郷に。 永達は鄭とともに「森浦」へと…

瀬尾夏美『あわいゆくころ』 抜き書き

いわゆる「復興」ではない「はじまり」を語り合うために。 「はじまり」の「場」を開くものとしての「芸能」を感じるために。 「死んだ人はもうあまり喋らなかったが、時おり歌をうたっていたね」(「みぎわの箱庭」より) 2012年12月21日 まちづくりとは、 …

黄晳暎『客地』(岩波書店) メモ  友の血

「黄晳暎は語る 韓国現代史と文学 (聞き手)和田春樹」 「四・一九と友人の血」より 私ととても親しかった安鐘吉君、彼は兄が『東亜日報』の記者であったためか、兄の影響を強く受けており、私と政治的な話をよくしていたんですが、その彼とともにソウル市…

ホ・ヨンソン詩集『海女たち』の翻訳をめぐって   ~もっとも低くて、もっとも高くて、もっとも遠いところの声~

ホ・ヨンソン詩集『海女たち』の翻訳をめぐって ~もっとも低くて、もっとも高くて、もっとも遠いところの声~ (ホ・ヨンソン著 訳:姜信子・趙倫子) <1>歌に呼ばれて、めぐりめぐった旅のすえの済州島 もう20年あまりも前になります。日本とか韓国とか…