2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

マイソング

一日の終わりに、「カシナム(茨)」という韓国の歌を思い出す。折に触れ、口ずさむ歌。韓国語で、「ネソゲン ネガ ノムド マナソ タンシヌン スィルコッ オムネ」と歌いだす。初めて、その歌詞を聴いたときに、ああ、これは私の歌だと思った。以下、訳詞。 …

absent-minded 上の空

最近忘れっぽい。そもそも覚えない。隣のおばさんの顔がどうしても思い出せない。引っ越してきたばかりの私がまだ洗濯機を持たないことを察して、「うちのを使いなさいよ」と言ってくれた、出会いがしらのその一言で強烈な印象を残したおばさんなのだが。(…

幸福は永遠に女だけのものだ

と、澁澤龍彦は書いたけれども、これは、不幸は永遠に女だけのものだ、というのと大して変わらない、つまりは大して意味のない言葉のように思える。時折、私は幸福になりたいと無闇に考えたりもするが、それもまた澁澤の言葉と同じくらい無意味のような気が…

阿房列車でいく。

近々、友人を訪ねて秋田に行く。 秋田・大館フリー切符という、首都圏から秋田方面への行き帰りに新幹線も寝台も乗れて、しかも秋田・大館のエリア内は7日間乗り放題の、なかなかに結構な切符を見つけて、旅心が大いにふくらむ。ならば、行き帰りは寝台特急…

「詩人は」

詩人は 片目をおおうて 世を渡る 二つの珠玉を見せて 一つだけ取れといった人には 珠玉の輝きを讃えるだけで踵を返したどこへ行くところかと 問う人があればただにっこり笑ってだけみせよう襤褸をまとって街に立ち こころはいささかも乱されぬ。 これは李漢…

返事を書く

新居第二夜。学生が貸してくれたDVD「奇跡のシンフォニー」を観る。 運命に弄ばれバラバラにされて生きてきた3人を音楽が見えない糸となって結び続け、遂には再会させるという、現実にはまずありえない夢のような物語。主人公の少年は音楽の化身のような存在…

後家の涙

明日は引越し。段ボールに囲まれてチェホフ「学生」を読む。荒涼として陰鬱ですべてが寒い夕闇。学生は考える。「リューリクの時代にも、ヨアン雷帝の時代にも、ピョートルの時代にも、これとそっくりの風が吹いていただろうということや、彼らの時代にも、…