2013-01-01から1年間の記事一覧

「カシワザキ」を呼び戻す。

『カシワザキ 「空白」をめぐる旅」。新潟日報に2011年8月から2012年3月まで連載。 裏HPにアップした。 これは、私なりの3・11以降の旅。 いまいちど、読み返して、時とともにこぼれ落ちて消えていくものを呼び戻す。 「カシワザキ」とは、私にとって、「…

かもめ組 ふたたび

11月23日に、一年ぶりに、かもめ組として、新潟に行ってきました。「かもめ組」というのは、 昨年、新潟の萬代橋 水揚げ場のかもめシアターにて「浪曲からパンソリへ パンソリから浪曲へ」と題して、 浪曲:玉川奈々福、パンソリ:安聖民 道案内人:姜信子の…

わたしの瞬間は?

『詩人から頭の固いひとに』 ラングストン・ヒューズ/木島始 訳 ぼくは さっぱり何もしてあげなかったね きみの ために、 きみも さっぱり何もしてくれなかったね ぼくの ために、 だから ぼくたち 意見一致しないのには 充分に 理由がある。 しかし ぼくは…

谷川健一最後の著作

この夏に亡くなられた谷川健一さんの最後の著作『露草の青 歌の小径』を読んでいる。 何度かお目にかかったことがある。激しい情念を内に秘めた方と感じていた。 その方の晩年のこんな一文。「私が今、此の世でもっとも親近感を抱いているのは、人間ではない…

裏HP更新中

過去に書いた書評、映画エッセイ、いろんな文章を仕舞ってある、秘密の書斎、裏ホームページ。http://wild-krystall.jimdo.com/%E6%9B%B8%E8%A9%95-%E5%A7%9C%E4%BF%A1%E5%AD%90/久しぶりに、過去の書評、映画エッセイを何本かアップしました。

気がつけば、9月

この8月も自分史上、最高に忙しい、というか最悪に切羽詰った一ヶ月だった。 そして、気を取り直して、9月。 この秋から冬にかけてやるべきことの準備をしっかりとしていくべき時期。まずは、これ! ★10月20日(日) 「谺雄二氏詩集&信太妻(説経節より)」…

骨片文字

草津の谺さんから、詩人村松武司編の療養所の十人の詩人たちの詩集『骨片文字』が送られてきた。 1980年に刊行された詩集。 編者の村松武司はハンセン病者ならぬ自身のことを「非ライ」と呼び、 世界の片隅に追いやられるばかりだった「ライ」を、世界の中心…

此の世の外へこぼれてゆけ!!

この一か月、自分史上、最高に労働したような気がする。 いくつもの仕事が同時進行、ほとんど睡眠時間2〜3時間で過ごしたような。ひとつは、わが水牛老師の本の仕事。8月半ば過ぎにみすず書房より刊行予定。 みすず書房近刊情報には、『夕凪の島 八重山歴…

恋しくば尋ね来てみよ、

大阪・和泉。JR北信太駅からすぐ。葛の葉神社。「恋しくば尋ねて来てみよ 和泉なる信太の森の うらみ葛の葉」 説経節『信太妻』より。 信太森神社。 この中に、葛の葉稲荷大社がある。地元では、ここの神社は森田さんとよばれているのだという。 森田とは…

ペドロ・アドモドバル 「ボルベール 帰郷」  慎ましい希望

ペドロ・アドモルバル『ボルベール 帰郷』女たちは生と死のあわいを、けなげに、必死に、たくましく生のほうへと生きていくのだけれど、 その生きている姿というのは、実に可笑しみもあるもので、人の世はそんな生と死で織り上げられ、哀しみと可笑しみは果…

Talk to her

ペドロ・アドモルバル作品を観る。いままで、なんとなく、タイトルが目に(心に)入って来なくて、観ることがなかったのだけど、ロック仲間の内藤クンが面白いからと「talk to her」のDVDを貸してくれた。いきなりピナ・バウシュのダンスシーンからはじま…

とても小さな棘のような疑問

夏至。家を大掃除。夏に備えて、ごしごしと浴室を磨く。かびの気配をあらかじめ消す。ごしごしと無心にこする。 心もごしごしこすれば、いろんなものをきれいに洗い流せるのだろうか。いや、心には無数の襞があるものだから、そう簡単にはいかないんだろうな…

新しい人生

5月から、生活を変えた。まず、書くこと読むこととは全く関わりのないひたすら体を動かす仕事を週何回かすることにした。心が喜ぶこと、精神が豊かになること、体が健やかになることに、情熱と時間を注ぐことにした。自分を傷つけるものとは無駄な闘いなど…

書評サイトを創った。

http://wild-krystall.jimdo.com/%E6%9B%B8%E8%A9%95-%E5%A7%9C%E4%BF%A1%E5%AD%90%E3%81%8C%E8%AA%AD%E3%82%80/これまで書いてきた書評を、ひとところにまとめて読めるようにすることにした。 これから少しずつアップしていくつもり。

不覚にも、村上春樹新刊を読んだ。

生き方を変えようと思う。 捨てるべきことは捨てて、断つべきものは断って、 独りで立って、シンプルに、生きることを味わって、楽しんで、 でも「楽」に淫することはなく、筋の通った人生(と、こういうことをついつい言うから、社会派とかなんとか呼ばれて…

ハンセン病市民学会in熊本 特別企画は詩と歌に溢れて…

琵琶デュオによる現代版説経節「みなまた海のこえ」(原作:石牟礼道子)初演!! 「しゅうりりえんえん しゅうりりえんえん わたいはおぎん きつねのおぎん しゅり神山のおつかい おぎん」これは45分にもわたる大作。 石牟礼さんの詩が、薩摩琵琶の節にのる…

人、野草と語らえば・・・

友達のペンギン(という名の人間)が関わっている、面白くていろいろ考えさせられて、気持ちがやさしくなる映画の上映会です。『ファン・デグォンのLife is Peace with 辻信一』 獄中での野草との出会いから、独自のエコロジー思想を編み出した韓国のアクティ…

 5月15日は博多・西南学院大学で!

●日時:2013年 5月15日(水)19時開演(2時間弱を予定)●会場:西南学院大学 西南コミュニティーセンター・ホール(地図) ●入場料:一般1000円、学生無料 ※事前申し込み不要(当日券のみ)●問い合わせ:田村元彦 mtamura@seinan-gu.ac.jp 姜信子 wi…

旅する対話 広島編 番外

4月14日(日)は、広島文化台風とチェチェン連絡協議会の共催で、「旅する対話」広島編。 チェチェン人の映像作家ザーラ・イマーエワと私の日本での対話の旅もこの日が最後。 会を仕切ってくださった東琢磨さん、温かく迎え入れてくださった広島の皆さんのお…

4月6日  cafe diaspora 出会った、飲んだ、歌った、そしてまた旅

さてさて、慌ただしい日々です。去る4月6日、『旅する対話』(ザーラ・イマーエワ・姜信子共著 春風社)刊行記念と銘打って、 この日一日だけ、ほんの3時間だけ、一夜限りの、 café diaspora! をオープン、 東京に、荒野の旅人たちの宴の場が出現、「旅する…

はじまりのために

気がつけば、3月も終わろうとしている。 俗事に振り回されたこの月は、(お金の計算をしたり、人間関係の調整に動いたり、広告を作ったり、弁護士さんにいろいろ相談したり、まあ、いろいろ、きわめて現実的なことばかり、人間ってなんだかねということばか…

試み、どこかへ行く道の途中にいること。 by パウル・ツェラン

「旅する対話」近江八幡編

「旅する対話 近江八幡編」のお知らせです。 3月23日、 ボーダーレスアート・ミュージアムN-MAを運営する滋賀県社会福祉事業団の主催で、 亡命チェチェン人映像作家ザーラ・イマーエワと田島征三画伯の対話の場が開かれることに! 題して、 『歓喜のアート/…

3月4日は福岡・ブックスキューブリック!

2月23日、大妻大学での、ザーラ・イマーエワを迎えての最初のトークイベントが無事終了しました。 遥かなチェチェンと日本と、チェチェンから見て「希望の国」である日本と、日本から見て「予感の国」であるチェチェンを、いかに語り結んでいくか、そんなテ…

もう百年たったんだな、と言う男が理想

慌ただしい。 チェチェンのこと、ハンセン病のこと、ミナマタのこと、イベントごと、いろいろ。 こうして書き並べると、世の人が時に(というか、たいがい)、私のことを社会派と呼ぶのも無理ないなと思いつつ、 私自身は市民運動は苦手、協調性なし、羞恥の…

黄泉帰る

『巫と芸能者たちのアジア』(野村伸一 中公新書)を読んでいる。 読むうちに、しきりに、済州島で見た神房(いわゆるムーダン)の「クッ」を思い出す。 神房が開くこの世とあの世を結ぶ道、死者の声、その日その時その瞬間だけ神房によって語られて消えてゆ…

3月2日〜4日は九州「旅する対話」ツアー!!

3月は、アゼルバイジャンのバクーに亡命中のチェチェン人の友、ザーラ・イマーエワを日本に迎えて、西日本に向けて、「旅する対話」ツアーに出ます。これは、ザーラ来日に間に合わせようと疾走状態でただいま絶賛校正作業進行中の新著『旅する対話 ―ディア…

水俣 魂石

水俣の埋立地に立つ「魂石」。たぶん55体あった。(広い敷地を数えながら歩いているうちに、だんだんわからなくなった…) 埋立地への「魂石」の建立は、1994年3月に田上義春さん、浜元二徳さん、杉本栄子さん、緒方正人さんら17人の水俣病患者が「水俣病を…

『旅する対話』刊行!

ようやく刊行にこぎつけました。 1944年2月23日、50万人のチェチェン人がコーカサスの地からカザフスタンへと、スターリンによって追放された日に。 ディアスポラ(故郷喪失、民族離散、記憶の断絶)の象徴の日に

狼鑑札

『私のための芸能野史』(小沢昭一 新潮文庫)を読んで、ふっと<狼鑑札>のことを思い出した。<狼鑑札>というのは、帝政ロシアの時代に、法によって、どこか一箇所に落ち着くことを認められず、道もなく目的もなく果てもなく、死ぬまで歩きつづける義務を…