散文的世界。

書評原稿を書く。
来週末に2年ぶりに再会する谺雄二さんの詩集「ライは長い旅だから」を眺める。
荒川洋治「文学の門」を読む。
荒川さん曰く、日本で見かける文章の、九九パーセントは散文、なのだそうである。いまの日本は、散文の支配力がとても強い、のだそうである。実感としてよく分かる。ここで言う散文とは、曇りなく、分かりやすく、翻訳もしやすい、含みも余白も沈黙も奥行きもない文章のことを言っている。散文がつくる世界とはどんな世界なのか、散文に意識を支配されると、人間の感覚や生き方はどう変わるのか、そもそも人間は散文がいかなるものかきちんと理解しているのか。そう荒川さんは問う。
その答えを考えると、少し怖くなる。