沁みる

新聞連載原稿6回分のうち、4回分までを集中して書く。思考も視界も寄り目になってきた。「七つめの絵の具」(いせひでこ 平凡社)を読んで、寄り目をゆるめる。絵描きの絵のない本と著者は言うけれど、この本には絵がいっぱい。読むほどに心に描かれる絵。乾いた眼と心に絵が沁みる。



しるべもなくて来た道に
道のほとりに なにをならって
私らは立ちつくすのであろう
――立原道造「晩き日の夕べに」――