最終日  李仲變美術館は工事中で入れず。正房瀑布を訪れたが、4・3の時にそこで虐殺されて、死体も海に散って見つからない者たちの墓(空っぽの墓:虚墓)がある東廣里の交差点はただ通り過ぎるだけだった。

オルレが流行って、市場も毎日オルレ市場と改名した西帰浦の町、そこで私は団体から一人離れて、交差点の角のスタバで山尾三省の『火を焚きなさい』を読んでいる。

近代化に抗する道/オルレと言い切るのは、やや無邪気だろう、それでもなお自身のオルレを思いつつ、屋久島の循環する時間の中で思想と言葉を育んだ詩人の詩を読む時間の豊かさ。



李仲變美術館といい、虚墓といい、たどりつけないその距離に、尽きせぬ思いが宿る、言葉を呼びだす。