『六ケ所村の記録(下)』 メモ

 

(六ケ所村を原子力センターにするのは)通産省の外郭団体の調査報告書(1969年)に明記されている既定方針だった。

核燃サイクルは、開発が頓挫した広大な空き地があるからと、1984年に始まったのではない。青森県が、広大な空き地へと誘致したのでもない。

 

 

工業立地センターの「調査報告書」の発表前の一九六八年、東北経済連合はすでに「原子力エネルギー基地」構想を打ち上げていた。下北半島核半島化は、このころからすでにはじまっていたのだ。各地方経済連の会長クラスは、たいがい地域最大企業である電力会社の会長、社長が占めているから、地域の将来は電力会社に握られている、といって過言ではない。

 まして電力会社は、東北、北海道、関東などといったように、日本列島を分割した大ブロックごとの独占企業だから、電力会社間に競争はない。電力会社の利益はほとんど一致、すべて共通の利益である。

 

政界・財界の共通の利益でつながっている者たちが、札束と公の暴力装置を使って、ここぞと狙いをつけた土地に生きる人々に無数の分断線を引き、対立させ、土地から引き剥がしにかかる。

 

もうこれは、足尾鉱毒の頃から、一貫して変わらぬことで、その成功体験が明治の世のから連綿と続く、政財界のえげつないやり口。

足尾銅山の古河は、その前に阿賀の草倉銅山の経営を始めて、そこから鉱山王へと成長してゆく。

古河は外国から新機械を取り入れると草倉でテストを行い、見込みが立つと足尾銅山他に採用した。http://rekisi1961.livedoor.blog/archives/2761201.html

 

阿賀ー足尾ー水俣ー朝鮮興南ー福島、六ケ所、等々と、あの連中の成功体験の連鎖を思い、あの連中によってあらゆるつながりを断ちきられていった人々のことを想う。

 

つながりを断ちきられた人々が、あの連中の唱える「愛国」でひとまとめにされていった風景を想う。

 

この国で(この国だけではないな)、なにかと唱えられている「愛国」、「復興」、「開発」という言葉に対して、本当にふさわしい意味を与えなければいけないね。

 

六ケ所村の三点セットは、濃縮ウラン工場、低レベル放射性廃棄物貯蔵施設、使用済み核燃料再処理工場。

 

電力会社10社の原発から、運転開始から40年間で3万2千トンの使用済み核燃料が搬入されて処理され、1年間に8トン(核弾頭1000発分)、合計300トン以上のプルトニウムを分離する計画である。いますでに、六ケ所村には仏英から帰ってきた30トン以上のプルトニウムが溜まっている。

 六ケ所村の再処理工場が稼働すれば、日本は世界に冠たる超プルトニウム国家となる。 (中略)

 大間の新型転換炉が中止になったかわりに、建設されている大間原発は、炉心に入れるのはすべてMOX燃料という、「もんじゅ」につぐ危険な原発である。

 

2011年東日本大震災後、新たに建設中の原発は大間だけで、それも停滞中。

(現段階では、稼働開始は2030年とされている)

https://www.asahi.com/articles/ASP9T6VV0P9PULUC023.html

揺れる 大間原発の行方:朝日新聞デジタル

 

 

 プルトニウムを取りだす技術は、原爆製造のマンハッタン計画で確立した技術である。

 元素プルトニウムは、「冥界」を司るプルートーンに由来しているのだが、プルトニウム239は、1グラムの核分裂でガソリン2トン分のエネルギーを出す。人間に対する許容量は、1600ピコキューリ(1億分の3グラム)といわれている。半減期は2万4千年。人類がつくりだした、最大、最悪の猛毒である。 

 

放射線のDNAへの影響

<概要>
 放射線に対して生体で最も防護すべき標的はDNAで、放射線はDNA主鎖切断や塩基への障害を起こす。鎖切断は一本鎖切断と二本鎖切断に分けられる。前者は正確に修復が可能であるが、後者は修正エラーや修正不能を起こし突然変異や細胞の死に結びつく。塩基への障害は直接に、あるいはDNAの誤修復などを介して、種々の突然変異をひき起こす。これは発ガンに関与したり、遺伝的影響に関係する。
 DNAへの放射線作用は線質によって異なる。X線やγ線の様な低LET放射線では直接作用によるDNA鎖の切断と、間接作用による種々の塩基への傷害を起こす。また、中性子α線などの高LET放射線による傷害のほとんどは直接作用が原因である。
 しかしながら放射線による影響は、生体内の標的DNAが存在する環境(温度、酸素濃度、クロマチン構造)によって異なる。

 

人間の命にとって、直接的も、象徴的にも、<切断するもの>としての<核>を考える。

 

 

六ケ所村への電源三法交付金320億(2011年までの総計)、固定資産税年間50億、

核がなくては生きていけない村。(鎌田慧

その背景には、核がなくては生きてはいけない連中の世界がある。