阿波根昌鴻『米軍と農民 ー沖縄県伊江島ー 』1973 岩波新書 その2 反骨について

たとえば抵抗する伊江島真謝の農民のひとり、石川清食は、戦前に、指を切って徴兵に抗った者だった。無言の抵抗。指がない理由をずっと言うことはなかった。

土地闘争のなかで、ベトナム戦争の兵役拒否の運動のことを知った者が石川清食のことを想い起こし、「うちの真謝にも偉い爺さんがいる」と言い出し、指を切って60年後に、石川清食爺さんは、晴れ晴れと自身の戦争への抵抗について語ったのだという。

 

土に生きる者の反骨、 抵抗

伊江島  真謝(マジャ):地名の語源は「真地(マージ)」 黒土の肥えた土地

 

 真謝の農民は、沖縄全体もそうでありますが、戦争のことは語ろうとしません。思い出すだけでも気が狂うほどの苦しみでありました。それと同様に、戦後の土地取り上げで米軍が襲いかかってきた当時のことも、話したがりません。みな、だまっています。真謝の農民はたたかいました。だがそれ以上に、苦しみと犠牲は大きかったのでした。

 だがその苦痛をふくめて、やはりわたしはお話ししなければなりません。

                             阿波根昌鴻