2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

船出

大陸からの季節風が済州島の漢拏山にぶつかると、その風下、済州島の南南東の方向へと、「カルマン渦列」という交互に並んだ渦の列ができる。それはずっと奄美大島まで伸びてくる。 それは、『薄墨色の文法』(今福龍太 岩波書店)の「唸り」の章に書かれて…

声音

石牟礼さんが「声音」と題したエッセイでこんなことを書いている。「もう三十年くらいも前、天草下島の深海で、百歳を越えたおじいさんから話を聞いたことがある。/男たちが入営したり出征したりする“兵隊別れ”のときとか、いたいけな少年少女が島を離れて…

創世記

石牟礼道子『天湖』より。「はじめに小さな川や泉があった。風や雨があった。人がいた、心があった。声がゆき来していた。歌が出現した。互いの魂に呼びかけるために」

天湖

石牟礼道子『天湖』を読んでいる。山の神と海の神との結ばれを語り、神々の息づく世界に、神をなくした人間をふたたび迎え入れようと、その道を開こうとする物語。それにしても石牟礼さんはよく歌う。ここなるは/天の 底なる/おん旅所/浅き月をば/まねく…

はじまれ!あつまれ!〜8月25日、はじまれの会、お知らせ〜

8月25日、馬喰町art+eatで催される『はじまれ 犀の角問わず語り』刊行記念イベントのお知らせです。朗読したり(by浪曲師玉川奈々福姐さん)、 絵と文章の描きおろし×書きおろし(byうーの屋敷画伯×姜信子)のコラボの試みをしてみたり、 なにかがはじまる場…

音楽を聴くわたしは、不死のわたしである

レヴィ・ストロース『神話論理1』序曲より。 神話的思考は思いきって出発しようとしているのではなく、到達しようとしているのでもないので、行程全体を全うすることがない。神話的思考にはいつまでたってもまだ成し遂げねばならないことが残っている。儀礼…

メモ。神話をめぐって。開く、聴く、歌う、踊る、生きる

神話学者ジョーゼフ・キャンベル曰く、 「私たち自身の生活の美は、生きていること自体の美しさにどの程度までかかわっているのだろうか」 「人々はよく、われわれは生きることの意味を探っていると言いますが、人間がほんとうに探求しているのは、たぶん生…

芯から震えろ

慌ただしく過ごしていたら、7月になってしまった。 5月下旬から6月末まで、怒涛のようだった。石牟礼道子さんを訪ねて、お話を伺ったのが5月の下旬。それは6月29日発行の週刊読書人に見開き2ページで掲載されている。久しぶりに石牟礼さんにお目にかかって、…