幸福は永遠に女だけのものだ

と、澁澤龍彦は書いたけれども、これは、不幸は永遠に女だけのものだ、というのと大して変わらない、つまりは大して意味のない言葉のように思える。時折、私は幸福になりたいと無闇に考えたりもするが、それもまた澁澤の言葉と同じくらい無意味のような気がする。と、ことさらにこんな埒もないことを真夜中(午前3時40分)にぐるぐる考えているのは、昨日2月20日に、ゆえあって、わが娘の幸福を雑念なく無心に祈ったから。人の幸福を心から祈ったとき、自分自身も幸福であるような、そんな実感がふっと湧いて、すっと通り過ぎていったような。うん、私はまた何か大事なものを捕まえ損ねたような。

さてさて、何があろうとボチボチ翻訳。田中小実昌だって、お酒を飲もうと、二日酔いになってしまおうと、毎日5ページのノルマは崩さなかったらしい。

「道は昭らかなれば、すなわち道ならず」荘子