欲張り

金井美恵子『快適生活研究』、ラングストン・ヒューズ詩集、小野十三郎詩集を眺める。

ラングストン・ヒューズを読んでいると、心が揺れたり、騒いだり、静まり返ったり……。

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「黒人はおおくの河のことを語る」
ぼくは、おおくの河を知っている。

ぼくは、おおくの河を知っている、世界のはじまりのときからの、人間の血液がひとびとの血管に脈うちながれはじめた以前からの。
ぼくの魂は、それらのおおくの河のように、底のふかい泉からわきでてきたのだ。
(後略)


「助言」 
みんな、云っとくがな、
生れるってな、つらいし
死ぬってな、みすぼらしいよ――
んだから、掴まえろよ
ちっとばかし 愛するってのを
その間にな


「夢の番人」
きみの夢を のこらず もってこい。
きみたち 夢みる人びとよ、
ぼくのところに のこらず もってこい
こころの 旋律を、
この世の 粗っぽすぎる
指に ひっかきむしられないように、
ぼくが 青い 雲の 布をきせて
そっと 包んでやることができるように。

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愛も欲しければ、青い雲の布も欲しい。
おおくの河のことも知りたければ、おおくの島のことも知りたい。
欲が張る夜。