神の名前

4月15日、新潟、上越、茶屋ヶ原、乳母嶽神社を訪ねた。

説教祭文「山椒太夫」には、直江の浦で人買いにたぶらかされて、
安寿と厨子王は丹後由良へ、御台とうわ竹は佐渡へと向かう舟に乗せられるのだが、
海に飛び込んだうわ竹が復讐の大蛇と化して、それを鎮めるために乳母嶽神社に祀られたと、
その由来がまことしやかに書かれている。

その乳母嶽神社、鳥居の扁額には「加具奴知命」とある。
そもそもが大国主命の妻となった「奴奈川姫」が祭神という説もある。
茶屋ヶ原の沖の四海波のあたりから浮かび上がった霊像を祀って、
拝めば乳がよく出ると、乳母嶽神社となったともいう。

奴奈川姫にしても、海からやってきた乳母嶽にしても、水に関わる神だろう。

鳥居の額の、「加具奴知命」は、「迦具土神」を連想させる。これは火の神。この神を産んだために、伊邪那美は陰を焼かれて死んでしまう。怒った伊邪那岐が火の神の頸を斬って落として、火の神の血は流れて飛び散って、さまざまな神を生み出す。

水の神と火の神と。イメージは広がるけれども、乳母嶽神社の祭神をめぐっては諸説紛々、謎、謎、謎。