母おさだの放浪

●おさだを憐れんだ村の長者が、からの国の加藤左衛門を紹介してくれる。
(からとは唐なのか? 加賀なのか?)
(加藤左衛門とは、五大説経の一つ「刈萱」の主人公の父の名前ではないか。近代以前、誰もが知っていた説経系の物語は、相互に溶け合っているようではないか?)


●おさだは「竹のこじりに身をすがして」歩き出す。
(竹の杖は盲目のおさだの闇の杖。同時に、能でも説経でも竹の枝は狂女のしるし。)


●加藤左衛門に雇われたおさだは、粟畑で鳥追いに。
(「つそう丸ぁ恋しいじゃほいほい、埋げられたるあんじゅが姫ぁ恋しいじゃほいほい)


※「御免なさいど腰かげで/奥から加藤左衛門が出で来て/若い姐さんどぢがらおいで」
このやりとり、イタコの生身の声が聞こえるような語りの妙味