リセット

本日はリセットの一日。表参道にてスパイラルな思考を解きほぐす。

心中天網島」(篠田正浩)、「アワーミュージック」(ゴダール)を観る。

心中天網島」は我が家の小さなテレビでDVDで観るのはもったいなさ過ぎる映画。
武満徹の音楽と篠田の映像のからみがテレビではちっともわからない。
人間の運命を操り、運命の兆しを告げ、運命の行く末を見届ける黒子たちの存在が実に印象的、実に効果的。様式美となまなましい官能。この映画は映画館で観たい。音と映像をきちんと堪能したい。


「アワーミュージック」。
ダンテの神曲の構成に則って、非対称の世界のなかで対立し、戦う人間たちと、人間を救う道を探ろうとするゴダールの問いかけを描き出そうとしている映画。ゴダールお得意の引用に次ぐ引用。映画本筋とは関係はないのだが、好きな作家であるフアン・ゴイティソロを映像の中で見ることができたのが、少し嬉しかった。


以下、「アワーミュージック」からの引用。

「作家は自分の書いたことを本当に知りつくしているのかい?」

「私はトロイの詩人を探しています。トロイ側からは何も語られなかった」


ホメロスは戦場も殺戮も勝利も栄光も知らなかった。盲目だったから―。他人から聞いた話を語っただけだ」

「行動する人間は自分の行動を適切な言葉で語れない」

「死者に最良の運命を残せ つかの間の生命に輝きを与えよ 生者たちが穏やかに闇を歩けるよう導け」

「人生は自分を敗者と確信して生きる闘いだ」